『PENTAX フィルムカメラプロジェクト with 岩倉しおり 特別企画展「It’s time for film!」』レポート!
現在、『PENTAXフィルム・プロジェクト部日誌』でお馴染み〈リコーイメージング〉が、新宿の〈北村写真機店〉イヴェント・スペースで、岩倉しおりによる写真展をはじめとする特別企画展「It’s time for film!」を開催している(今月31日まで)。
イヴェント・スペースに足を踏み入れまず目に入るのは、岩倉しおりによる美しい写真の数々。カラー写真の繊細な色合いが目を引くのはもちろん、岩倉初めての試みとなったモノクロフィルムで撮影した写真(フィルム・ブランド〈イルフォード〉がネガなど提供)の完成度の高さ、プリントの美しさ。モノクロに初めて挑戦したとは思えない仕上がりで、絶妙なコントラストによって表現された光の眩さは本当に綺麗だった。
〈イルフォード〉のコーナーもあり、〈イルフォード・ジャパン〉の〈ジェットグラフ〉高柳彰郎取締役も会場に。発売されたばかりのカラーフィルム 「ILFOCOLOR Vintage Tone」の反響の大きさについての話も聞くことができた(これまでレンズ付きフィルム「ILFOCOLOR RAPID RETRO」は発売されていたが、銀塩カラーブランドは久々の「復活」となった)。その他、歴代のフィルムカメラの展示(実際に触れるだけでなく、常駐している〈PENTAX〉スタッフに色々とカメラの構造を教えてもらえるのは貴重な体験だった)や当時のカメラの設計図面が近くで見られたのも興味深かったが、何より高揚したのは、『フィルムカメラプロジェクト』で開発中のカメラの機構試作機が置かれていたこと(土日祝のみ)。紙に包まれて箱に収められていたのだが、隙間から覗ける機構動作確認用の試作機……このようなものを見られる機会はなかなかない。この展示は急遽、開催前日に決まったとのことで、会場に来ていた〈リコーイメージング〉赤羽 昇社長も最初に見た時は驚いていたほどだ。
その赤羽社長と、バァフアウト!で連載中の『PENTAXフィルム・プロジェクト部日誌』に登場してくれている、PENTAX事業部第一推進部・商品企画・デザイナーの鈴木タケオとのトークショーが行われたのだが(初日のみ)、これが面白かった。
鈴木が初めて赤羽社長に「フィルムカメラを作りたい」と話した時のエピソードが出たり、開発の途中報告を聞くたびに、「無理なんじゃないの?と毎月思っている(笑)」と冗談を交えながら赤羽社長が話していたりと、非常にラフな空気感で対談は進行。「若いユーザーに楽しんでもらいたい」という話では、鈴木からの「アメリカではCDに替わりレコードの売り上げが伸びている」、「日本でもフィルムカメラを利用する若い人が増えている」という話を受け、「消えていくものを消えていかないようにするのは若い人の方がやっているかもしれない」と話しつつ、これまでフィルムカメラを支えてきた長年のユーザーにも感謝の念を表し、「みんながリスペクトし合いながら文化を残していくことができれば」と赤羽社長。こういった会話はまさに「フィルムカメラプロジェクト」の理念そのものだなと感じ入る。また、フィルムカメラ独自の魅力の話の流れから、「光や空気を感じるだけでも、1日中美しいものを見ている気持ちになれる」、「生きていることの良さ。光や空気や音を大事にしてほしい」という赤羽社長の話がとても印象的だった。
バァフアウト!での連載ページも大きなパネルとなって公開されているので、ぜひこちらも見てみてほしい。