圧倒的な演奏力と繊細なリリックのマリアージュが心地良い新東京の1stアルバム『NEO TOKYO METRO』
2021年、レコーディングからアートワーク、映像、マネジメントまで自分たちでおこなう当時20、21歳の大学生の、杉田春音(V)、田中利幸(Key)、大蔵倫太郎(B)、保田優真(D)からなる新東京の登場は鮮烈だった。高い演奏力、緻密なアレンジ、俯瞰と接近の2つの視点が共存するリリックと、一気に魅了された。コンスタントに新曲をリリースし、精力的にライヴをおこなってきた彼らが、2024年、満を辞して、1stフル・アルバム『NEO TOKYO METRO』を2月7日にリリースする。しかも、これまでリリースし、耳に馴染んできている曲はいっさい収録せず、全10曲すべてが書き下ろしの新曲で構成するという意欲作。興味深いのはシングル、EPと配信でスピーディにリリースするスタイルにフィットしていると思っていたのが、CDというフォーマットのフル・アルバムということ。が、新世代ならではの、今では耳にすることがない「コンセプト・アルバム」を感じたのだ。10曲というフォーマットならではの表現。CDという古いフォーマットに新たな息吹を吹きかけ、新しい意味を提示したと書いたら、大袈裟だろうか? 否、1つひとつのアクションに自覚的な彼らなら、納得できること。そして、10曲なのに、あっという間に時間が過ぎていく。このタイム感こそ、2024年のフル・アルバムということ。