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短期連載 PENTAXフィルム・プロジェクト部日誌 vol.4 Guest 小関裕太

JUL. 19 2023, 12:00PM

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撮影&文 / 堂前 茜 

「フィルムカメラの新規製造」を目指す〈PENTAX〉「フィルムカメラ・プロジェクト」の過程を追う本連載。第4回目のゲストは、俳優の小関裕太。デジタルとフィルムカメラの両方を普段から使っているという彼に、それぞれの魅力やこれからどんなフィルムカメラが欲しいか?など色々と語ってもらった。チーム〈PENTAX〉からは、〈リコーイメージング〉取締役・事業戦略担当の田部井章英、PENTAX事業部・開発統括部・第1推進部・部長の飯川 誠、同第1推進部・商品企画・デザイナーの鈴木タケオが参加した。

小関 もう一度フィルムカメラを作っていく過程で、どういう部分が難しいですか?

田部井 難しいのはやっぱり手巻きの部分。それを再現するために日々努力をしています。小関さんは、フィルムカメラはお持ちですか?

小関 自分のお金で買う前だと、カビてしまっているのですが、祖父からもらった〈PENTAX〉のカメラや、カメラマンさんが使わなくなったものを頂いて持っています。祖父は自分で現像して新聞社に写真を提供したり、近所の方の現像を手伝ったりしていたらしいです。昔祖父が、「このぼかし感が良くて」と熱心に教えてくれたのを覚えています。自分で初めてカメラを買ったのはデジタル。フィルムに手を出し始めたのは最近です。ずっと興味はあったのですが、なかなか手が出せなくて。結局、今使っているのはフィルムのオート。F値とかボケ感とか、シャッタースピードの感覚も知識も分からなかったので、まずはデジタルから始めて覚えてみようと思ったんです。

バァフ 今、新しくフィルムカメラを手に入れられるとしたら、どんなカメラが欲しいですか?

小関 手巻きはやはり気になるのと、カメラによってシャッター音が違うじゃないですか、「パスッ」感がメーカーや機種によって特色が違うのが面白いなって。音も僕、好きな要素のうちの1つなんです。例えば2ズームしかないカメラの「ンーッ、ンーッ」っていう音も好きだし、こもったりこもらなかったりっていうそれぞれの「パスッ」という音も好きだし。やっぱり実感があるからなのかなぁ。そこはすごく惹かれます。だからお話を聞いて、その技術が実は難しいんだけど、現代技術を駆使した上で手動に立ち返ってみる、再現なんだけど新しいものを作ろうとされているのがカッコ良いって思いました。

鈴木 今バトンタッチしないと二度と作れなくなっちゃうので。このプロジェクトが2、3年先になっていたら、ひょっとしたらもう作れなかったかもしれないですから。でも今やれば、次の世代に残しておけると思うんですよね。

バァフ 小関さんはフィルムカメラの使い方をどう覚えていったのですか?

小関 やっぱりネットだったりはするんですけど、フィルムが絡んじゃって開かなくなってカメラ屋さんに持って行って、「無理やりやろうとしちゃダメだよ」とか、「入れ方が多分違うよ」と教えてもらって少しずつ疑問を解消していったり。ちなみに手元にあるロモ(LOMO LC-A)、今も絡まったままでいます(笑)。あ、そういえば僕、この間ついに除湿庫の大きいのを買ったんです。カメラにカビが出ないように。

一同 お〜!

小関 ようやく。スペースもなかったりして買えなかったんですが、梅雨が来るたびに怖いし。

田部井 普段はどんなお写真を撮りますか?

小関 物を撮るのが好きで。最初に使ったデジタルが、〈富士フイルム〉のXシリーズなんですが、すぐに祖父のところへ行って、「買ったんだよ」と話したら、「ズームして見てみ、この表面のザラザラ感まで映るんだよ。これがすごいんだ!」と教えてもらって、そこからかな、素材感や輪郭に興味を持つようになって、祖父の家にあった漆の湯呑みを撮ったらすごく綺麗に写ったんです。グラスや湯呑みって、感情のない無機質なもののはずなのに、感情を感じて。無機質なものに有機質なものを感じることがあるのだと知ったきっかけでした。最初僕は、ファインダーを覗く感覚=自分の好きを切り取る、好きな画角と色合いや明暗、奥行きで切り取ることで自分探しができるなと思って手を出したんですけど、やっぱり撮っていくうちに「自分は意外と暗いものが好きなんだ」など、いろんな発見があるのがすごく楽しいんですよね。

田部井 フィルムとデジタルとで、どう撮り分けていらっしゃいますか?

小関 感覚的な部分で言うと、フィルムで撮った方が絶対に良い写真になるなと思う時、それこそ温もりとかが欲しい時はフィルムで撮りますし、「絶対にこの画角で撮りたい」とか、「このラインとこのラインを入れて、ここは入れたくない」と、対称的に撮りたい時や非対称にあえて撮りたい時は、僕の技量もあるかもしれないですが意図しきれないので、そういう時はデジタルで撮っていますね。

飯川 一般的にファインダーで見える範囲は、実際に写る範囲より狭いです。一眼も同様で、視野率と言って少し内側が見えているカメラが多いのですよ。でも一眼レフも視野率と言って少し内側が見えるようになっているんですよ。

小関 現像してみないと分からないですよね。デジタルは意図したものを絶対的に切り撮りたい時、自分の意思を込めるのがデジタルで、フィルムは奇跡を期待するという。あと、自分の期待していないものを撮れる良さ、ロマンがありますよね。それぞれ良くて。そういえば、今共演している方が23歳なんですけど、フィルムしか持ってないと言っていました。僕が高校生くらいの時からそうですけど、俳優業界はフィルムカメラを持っている人が多いです。

バァフ カメラ友達はいますか?

小関 たくさんいます。最近だと誰だろうな……高校時代の友人というか先輩ですけど、須賀健太くんはよく「あそこの中古屋さんに売っていたカメラ、めちゃくちゃ安いけどクオリティ高いよ」とか教えてくれます(笑)。「こんな安くてこんなにいい写真が撮れるんだ」と感動し合ったりして。それこそ僕も初めてフィルムカメラを買った時は、お店にフラっと入って、どれもカッコ良いなと思ったんですけど、やっぱり音で決めました。「ンーッ、ンーッ」っていう音と、撮った時の音が良くて。

バァフ 小関さんはご自分で撮った写真を飾ったりもしますか? あとグッズ販売したこともあったんですよね?

小関 家に飾ったりもしますね。1回写真展をやったことがあって、その時だけ、限定でナンバーを書いて発売したことはあります。写真展はまたやりたいな。写真展の空間を作るのも好きで。大変だったんですけど、順路やコンセプトを決める作業がすごく楽しかったんです。

バァフ 実は7月1日から、新宿の〈北村写真機店〉で〈PENTAX〉さんがイヴェントをやられるんです(※開催中)。バァフアウト!のスペースも頂けるので、そこで小関さんの写真を飾るとか。

小関 え、それはすごくやりたいです! というかあそこで僕、現像していましたよ(笑)。

 

PHOTOGRAHS BY YUTA KOSEKI

(余談)取材後、飯川さん持参のフィルムカメラを借りて興味深そうに眺めがなら、「みんなで撮りましょう!」と、小関自らセルフィーで撮影をしてくれました。「はいチーズ! (シャッター音に)良い音!」と小関。本当にカメラ好きなことが伺えて嬉しかったです。「①はドラマ『来世ではちゃんとします」』の時の飛永 翼さん。ライティングや装飾あってのこの写真ですが、構図もばっちり。フィルムの淡さも上手く味になり良い1枚になりました。②フィルム写真の醍醐味である1枚1枚、フィルムの儚さを噛み締めながら撮る中で、温もりと生活と揺らぎを切り撮れました。③(2021年撮影)は渡邊圭祐くん。旅先でのカフェにて。部屋の明るさがモノクロの濃度に出て、力強い1枚に」

INFORMATION OF PENTAX

7月31日まで新宿〈北村写真機店〉6Fイヴェント・スペースにて、岩倉しおりによる写真展を始めとする〈PENTAX〉の特別企画展『It’s time for film!』(10:00-21:00)を開催中。

 

【WEB SITE】
ricoh-imaging.co.jp

【Instagram】
@pentax.jp

【twitter】
@ricohimaging_jp

INFORMATION OF YUTA KOSEKI

主演ドラマ『癒やしのお隣さんには秘密がある』が毎週金曜24:30より〈日本テレビ〉系にて放送中(〈TVer〉、〈Hulu〉毎話放送後配信)。

 

【WEB SITE】
www.amuse.co.jp/artist/A8267

【Instagram】
@yuta_koseki_68
@kotobanoamarinaitokoro

【twitter】
twitter.com/yutakoseki

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