APR. 19 2023, 12:49PM
ドキュメンタリー写真家として、世界各地のマイノリティーな人々と寝食を共にする独特な撮影スタイルで被写体の素顔を引き出してきた写真家の名越啓介が、4月12日から29日まで、東京・馬喰町のアート・ギャラリー〈KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)〉にて写真展『Familia 0565』を開催する。
南米出身者が多く住む「保見団地」は愛知県豊田市に存在。名越は2014年より約3年間、ここに住みながら日系ブラジル人を撮影し、2016年に写真集『Familia 保見団地』を発表した。今回の展示のポイントは、名越が初めて、撮影した想いを文字にして作品に記載していること。また、2021年に彼らと再会した時の写真から約35点が展示されていることだ。
今年劇場公開された役所広司主演の映画『ファミリア』はこの写真集がモチーフとなったことでも知られるが、『Familia 保見団地』の魅力は、10代の若さ漲るブラジル人たちの自由なエネルギー。家族の絆の強さが強烈に感じ取れる写真は、まさに人間讃歌だ。(堂前)
2014年の初夏、保見団地に住む事を決めた。
2013年の大晦日の夜に初めて団地を訪れ、ポルトガル語を話す多国籍な顔つきの 14,15歳の少年達を撮影した時に、懐かしさを感じた事を憶えている。
あれから 8年の月日が流れた。
2016年に写真集の完成を境に団地から離れたがその後も団地に足を運んだ。
2021年に団地を訪れた際に団地の仲間と再会した。
結婚した人、ラッパーになった人。子供を産んだ人。
ブラジルに帰った人、行方不明になった人。
新しく団地に来た人。
久しぶりの再会に団地から離れた自分に対して、何もなかった様に彼等は明るく受け入れてくれた。
日本とブラジル、どちらにも帰属できなくとも保見で育った仲間達はみんなこの団地が“家”である。
自分もまた団地という大きな家族の一員である事に今も変わりはない。
今現在約4000人の南米系の移民がこの保見団地に暮らしている。
名越啓介
名越啓介 写真展 『Familia 0565』
4月12 日〜29日まで、〈KKAG(Kiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery)〉にて開催。
OPEN/水、木、金、土曜 15:00-21:00
※日、月、火曜は休廊
※入場無料
【WEB SITE】
kkag.jp