〈BMSG〉からデビューが決定した日穏が映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』で初主演。役を通して考える青春とは
限りなく大人に近いけれど、まだ完璧に世の中を理解できていなかった高校時代。決して広くはない世界の中で予測不能な出会いや別れを繰り返し、人間関係や恋愛に一喜一憂していたのが懐かしい。とは言え、その中で発生しうる感情にしっかりと淘汰されていたのも事実だ。そんなことを思い返していると少し感傷的にもなるが、映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』はほろ苦い学生時代のアレコレをユニークな世界観で描いてくれるから、なんだか温かい気持ちになる。
主人公・代々木ジョニーを演じるのは、先日〈BMSG〉からデビューが決定した「STARGLOW」のメンバー・日穏。天然で生真面目、優しくて繊細 本当は焚き火部を作りたかったのに立ち上げられず、お飾り部員としてスカッシュ部に所属する高校生を熱演する。ジョニーもまた、出会いや別れを通してチクリと胸を刺すような青春を経験するのだが、その中で生まれる感情に心を委ね、少しずつ成長していく。見たものや感じたものをそのまま受け止めてしまう素直さには目を逸らしたくなってしまうかもしれない。しかし、そんなところもジョニーの愛すべき姿なのだ。
本作を手掛けるのは『違う惑星の変な恋人』や『このハンバーガー、ピクルス忘れてる。』などで、独特な世界観と会話劇を展開してきた木村聡志。『ジョニー』でも木村が描くシュールさは健在だが、今回は10代のフレッシュなキャスト陣がメインということもあり、全体を通して瑞々しさが際立っている。日常の中に潜む一瞬の出来事や目も向けないほどの気まずさなど、切り取る部分は絶妙だが、その中で息づく高校生たちの日々に共感できる部分も多いだろう。