鈴木真海子が誕生日にリリースしたニュー・アルバム『mukuge』は、日常の風景や心情の揺らぎに向き合い、生み出された音楽
鈴木真海子が、2ndソロ・アルバム『mukuge』を自身の誕生日である6月26日にリリースした。これまで少数精鋭にこだわってきた鈴木が、多数のミュージシャンを迎えて制作に至った今作。自らギターを弾きながらアイデアを練り、豪華な面々が奏でるサウンドが重なることで、アコースティックかつ、柔らかな雰囲気のアルバムへと仕上がった。前作に引き続き、パーソナルな内容の歌詞も必見。鑑賞した映画や友人から聞いた失恋話、鈴木の目に留まった何気ない風景など、日常の中から切り取られるワン・シーンは、我々の日常とも重なる部分が多い。時にアンニュイでありながらも鮮明なリアリティを持っているからこそ、彼女の紡ぐ歌詞が心にスッと入ってくるのだろう。
普段は、ラップ・ユニット・chelmicoとしてRachelとともに活動をしている鈴木。ラッパーとして成長をし続けている彼女たちは、様々な方面で活躍中だ。お笑い好きで、オフの日は飲みに行ったりカラオケに行ったり……とにかく仲の良い2人が創り出す楽曲に、毎度ワクワクさせられるリスナーも多いだろう。一方で、ソロ活動においては、また違ったベクトルで音楽と向き合っているようで、chelmicoとは制作の仕方も楽曲の系統も少し異なっている。『mukuge』について深掘りしていく中で見えてきたのは、音楽に対する鈴木の深い愛情だった。