「蓋を開けた瞬間『おや、何かおかしい人たちかもしれないぞ』と思えてしまう」、映画『違う惑星の変な恋人』で莉子が体現した人間の可笑しみと愛らしさ
会話劇はともすれば内輪ノリにも転びかねないが、映画『違う惑星の変な恋人』は一貫して笑いを提供してくれる上質なエンターテインメント作品だった。描かれるのは、年齢も性格も異なる男女の恋愛群像劇。ドラマティックな出来事が展開されるわけでもなく、人間同士の距離感や気まずさが入り混じる“意味のない”会話が妙にリアルで、登場人物の誰もが一見まともなのだけど、紐解くほどにズレや人としてのダメさがこぼれ落ちてくるものだから愛さずにはいられない。
むっちゃんを演じた主演の莉子は、モデル業に加え俳優としての活躍も近年目覚ましいが、本作で魅せたシュールな笑いに終始するコメディエンヌぶりはとても新鮮で、新しい一面を目撃できたことを嬉しく思う。