『詩楽劇「沙羅の光」~源氏物語より~』主演の紅 ゆずるが想いを込める、光源氏役との出会いと挑戦
「もし全然違う役でお声がけいただいていたら、お断りしていたと思います。それは、自分としてのけじめ、なのかな」。俳優にとって、身を投じる“役”というのは大切な存在であるが、紅 ゆずるの言葉には自身を愛してくれる人々への感謝と並々ならぬ覚悟も滲んでいた。
光源氏と心を通わせた女性たちの愛や苦悩の姿を詩楽絵巻として立ち上がらせる『詩楽劇「沙羅の光」~源氏物語より~』で、主人公・光源氏を演じる紅。宝塚歌劇団の男役トップスターとして圧倒的な輝きを放っていた当時からその縁は始まり、退団から約4年、本作でようやく役を纏うこととなる。あけすけにキャラクター分析をしながらも深淵を捉えようとする紅のキレのある語りからは、愛欲渦巻く物語が彼女の手によって一層鮮やかに表現されるのではないかという期待を抱いた。