時代を経ても変わらず響く。映画『渇水』で磯村勇斗が感じた社会問題と、映画への希望
磯村勇斗の持つ表現には、どこまでの広がりがあるのだろうか? 彼の出演作を観ていると、その幅に驚くと共に、映画監督などの制作者にとって、「こういう姿も見てみたい」などの創作欲が沸々と滾る存在なのではないかと思う。今回の撮影でも、まっさらなスタジオが湖のほとりに感じるほど、静かで、それでいて熱のこもるカメラマンとのセッションを魅せてくれた。
イチ媒体の取材でさえ圧倒させる磯村の魅力、作品の制作側が抱くものは如何ほどだろう。まさしくそんな出会いが映画『渇水』にあった。2022年に公開された映画『ヤクザと家族 The Family』を本作のプロデューサーが観て、磯村に演ってもらいたいとオファーしたのが水道局員の木田という男である。木田は、主人公の岩切(生田斗真)の同僚で、彼と共に、水道料金を滞納する家庭を回り、人間にとって最後のライフ・ラインと言われる水を停める“停水執行”をしていく。暑さも増す真夏、日照り続きで給水制限も発令される中、彼らは、業務に向かったとある家で、姉妹(山﨑七海・柚穂)と出会う。