移りゆく時代に山口祐一郎と浦井健治が“家族”を問いかける、舞台『家族モドキ』
ミュージカル界を牽引する山口祐一郎と浦井健治が、『オトコ・フタリ』以来約3年振りのストレート・プレイで再共演を果たす、舞台『家族モドキ』(今作も引き続き山田和也による演出と田渕久美子が脚本を手掛ける)。普遍的なテーマながら、時代と共に変容し、その在り様や答えが限定されないところが“家族”の面白さなのだろう。作品や役柄について真摯に柔軟性を持って語る山口と浦井の言葉からも、一般的な家族という枠組みに囚われない深い想いを受け取り、人と繋がり生きることへの豊かさを感じた。
なにより、2人の心地良い空気感は本作の物語を描く上では肝要になるのではないかと思う。20年以上の付き合いで、山口がチャーミングに振る舞えば浦井がすぐさま乗っかり、その場をワッと盛り立てる。人間的にも表現者としても厚い信頼とリスペクトで結びついた2人の関係性を表すのであれば、彼らもまた、家族と言えるのかもしれない。