『窓ぎわのトットちゃん』が初のアニメ映画化。娘を想う母の心情を繊細に表現した杏に訊く
今なお世界中で愛されているベストセラー作品で、黒柳徹子が自身の幼少期を描いた自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』が、アニメーションとして初めて映画化される。幼少期に手にした経験や記憶が何物にも代え難い財産であることを大抵の人は自分の中に折り重なったものを広げた時に初めて気付くのだろうが、圧倒的なエネルギーを持って日常を楽しむトットちゃんの姿を見ていると、忙しなく過ぎる日々にも愛着を感じ、もっと丁寧に目を向けたくなった。
本作で杏が声を吹き込んだのは、トットちゃんのママ。落ち着きがないことを理由に小学校を退学になってしまった娘への心配は尽きないが、愛情深く根気強く彼女と向き合い、成長を優しく見守っていく。黒柳本人の推薦でママ役を演じることになった杏だが、自身も子を育てる親であり、その声から伝わる質感には実感が込められているかのようなリアルさが感じられた。