鬼束ちひろを見出した音楽プロデューサーが回想する出会い、楽曲の驚き、存在の特異さ、そして、いかに世に出そうと奮闘した日々
2000年、19歳のシンガー・ソングライター、鬼束ちひろの登場は衝撃だった。初めて聴いた瞬間、とてつもないソングライティングの才能、素晴らしいヴォーカリゼーション、そして、曲を創り、歌うことでしか居場所を見つけられない圧倒的な表現者の佇まいを感じざるを得なかった。
それから24年、第一線で表現活動をおこなってきている彼女だが、この3月、『インソムニア』、『This Armor』、『Sugar High』と初期3枚のアルバムのリマスター音源に、デビューのきっかけとなった初オーディション時に録音された生歌唱音源、未発表カヴァー音源、アルバム未収録楽曲を収録したスペシャル・トラック集の4枚組CDに、2003年1月3日〈NHK総合〉で放送されたドキュメンタリー番組『神が舞い降りる瞬間~鬼束ちひろ・22歳の素顔~』の映像DVDに、デビュー前、カセット・テープに弾き語り録音したデモ音源3曲を収めたカセット・テープで構成されたボックス・セット『UN AMNESIAC GIRL ~First Code(2000 – 2003)~』をリリースした。
このタイミングで、当時、〈東芝EMI〉(現・〈ユニバーサル ミュージックジャパン〉)子会社〈メロディー・スター・レコーズ〉の代表で、オーディションで彼女を見出し、音楽プロデュースからマネジメント、販売戦略とすべてをおこない、3枚のアルバムを制作した、現在、音楽ビジネス・コンサルタント、A&Rプロデューサーの土屋 望と、デビューからバァフで取材、連載をおこない、2001年リリースのシングル『infection』からCDのアートワーク、ミュージック・ヴィデオ、ライヴ&TV番組出演時のスタイリングと、すべてのヴィジュアルをディレクションしてきた山崎が、その才能、特異な存在について語り合った。