同じ時代に生きる同志のような目線で作品作りへと向かう山中瑶子監督が、映画『ナミビアの砂漠』で映したものとは
映画監督という存在は、如何にしてその作品を制作するに至ったのか、知りたいことの尽きない存在であるが、山中瑶子監督もまた、多くの人が作品を待ち侘びている監督の1人である。彼女自身、滾る熱をそのまま表出させるようなことはないながらも、自身の中にある沸々としたものを、ユーモラスな演出を取り入れながら映画に昇華させており、最新作『ナミビアの砂漠』(『第77回 カンヌ国際映画祭』にて、『国際映画批評家連盟賞』受賞)でも、多くの人の心を掴むだろう。主人公のカナ(河合優実)をはじめ、ハヤシ(金子大地)、ホンダ(寛一郎)たちの生きる姿を見て、スカッとしたり共に迷走したり、感情が揺さぶられるのを体感する作品だ。
製作中にモヤモヤが溜まった時「インドに行ったら人生が変わるってみんな言うしなぁ」という思いつき1つで、インドへ飛んだというエピソードを聞いた時、一瞬で監督のことが大好きになった(その企画はインド滞在中に降りることを決意し、その後、数ヶ月で『ナミビアの砂漠』の脚本を書き上げている)。同世代の役者たちを前に、同じ時代に生きる同志のような目線で作品作りへと向かう。その姿勢と監督の人柄は、『あみこ』(2017年公開)を観て役者になることを決めた河合優実が監督作への出演を熱望したように、そして他の出演者のインタヴューからも、強く伝わる。多くの人を惹き付ける彼女の思考を辿ってみたい、その想いから色々なことを訊いてみた。