愛と孤独の狭間で揺れ動く男を描いた純文学『愛のごとく』が令和版として実写化。主演・古屋呂敏の思う愛の真理とは
小説家・山川方夫の遺作『愛のごとく』が、古屋呂敏を主演に迎えて映画化する。監督を手掛けるのは映画『卍』や『痴人の愛』など、これまでも純文学の映像化に携わってきた井土紀州。現実と記憶が交錯する幻想的な雰囲気や刹那的な瞬間を物語へ昇華し、リアルな温度感を含んだ作品へと立ち上げている。
純文学作品の実写化と言えど、本作の時代設定は令和。現代社会を舞台に、愛と孤独の狭間で揺れ動く主人公・ハヤオ(古屋)の姿が描かれる。かつての恋人・イズミ(宮森玲実)と8年ぶりの再会を機に、歪んだ関係性が動き出すという複雑な恋物語だが 恋愛を軸に人間の性を描いた本作を、古屋はハヤオとはまた違った価値観で以って冷静に分析する。ハヤオとイズミの関係は決して綺麗なものではない。脆く不確かなハヤオたちの恋愛を肯定的に受け入れられるのか、はたまた受け入れられないのか 。観る人の年代によって作品の解釈が変わる可能性を含んでいるのも本作の魅力だ。というのも、純粋ではない2人の関係性を鮮明かつ味わい深くさせるのは、これまで歩んできた人生経験を無意識のうちにハヤオたちに重ねてしまうからだ。本作は「愛とは何か?」をテーマに掲げている。極めて抽象的だが、議論が絶えない話題だろう。古屋自身も作品を通して、改めて愛について熟考したようだ。