主演舞台『ジャズ大名』で千葉雄大が音楽に熱狂する藩主に。“好き”を突き詰めていく彼の現在地
維新の嵐が吹き荒れる江戸末期。アメリカの南北戦争の終結により解放された黒人奴隷たちは、ひょんなことから日本の小藩へと漂着した。そんな折、好奇心旺盛な藩主・大久保教義(千葉雄大)は彼らと出会い、彼らが奏でる音楽の虜となっていく。次第にその輪は広がり、やがて城中を巻き込むほどのジャム・セッションが繰り広げられるのだった 人種や文化といった枠を飛び越え、音楽に狂乱する人々の姿を描く筒井康隆の傑作小説『ジャズ大名』を、主演に千葉雄大を迎えて舞台化。ポスター・ヴィジュアルの躍動感にも表れているように、音楽にただ身を預け没入する登場人物たちの熱がこちらにも伝播するようで、閉塞的な世界から連れ出してくれるのではないかという期待は膨らむばかりだ。
かなり個人的な話にはなってしまうが、千葉雄大は、「こういう人になりたい」という理想を体現している貴重な存在だ。気前が良くいつだってニュートラルで、自身にも周囲にも嘘なく生きる、穏やかな活力の持ち主。形や慣習に囚われない大久保役に息を吹き込む俳優が千葉であることに何の疑問も浮かばなかったのは、役を立体的に表現できる技量のみならず、彼自身が、好きな物事に対してとことん愛情を傾け妥協なく突き詰めていけるからだろう。
また一段と素敵になり人間味が増した千葉に、じっくり話を訊いた。