デビュー45周年、セルフ・カヴァーでない「再定義」された名曲が並ぶ新作を発表する佐野元春
2024年にリリースされた「Youngbloods(New Recording)」を聴いて、1985年に発表されたオリジナルを聴いた時同様、心が高く舞い上がった。オリジナルより疾走感溢れるリズムが刻まれ、ダンスチーム・CyberAgent Legitがステップを踏むMVで展開されているように、まさに2024年に響く楽曲に仕上がっているのだ。セルフ・カヴァーでなく、今の時代にフィットするために「再定義」するといったアティチュード。それは、今年リリースされた「つまらない大人になりたくない(New Recording)」(オリジナルは1981年発表の「ガラスのジェネレーション」)と続き、この3月12日に、上記2曲含め全10曲収録のアルバム『HAYABUSA JET Ι(ハヤブサ・ ジェット・ファースト)』がリリースされた。
デビュー45周年となった2025年、思い返せば、佐野元春は、インディペンデント・レーベル、雑誌発行、DJ、母校・立教大学を舞台にソングライターたちを招いての講義&TV番組制作と、いつの時代も常に革新的なアクションをおこなってきた。佐野を紹介するにあたって、日本語でのヒップホップ、アーティストのウェブ開設、複数のメディアを使っての表現など、「日本初の」という形容詞がいかに多いことか。それは今も変わらずにエッジィな存在でいることの奇跡がこのアルバムを聴けば伝わるだろう。