「知ることがどれだけ大事か」井浦 新が、森 達也監督の初長編劇映画『福田村事件』を通して見詰めたもの
井浦 新が、森 達也監督の初の長編劇映画『福田村事件』に主演する。関東大震災の5日後に千葉の農村で起きた、実話に基づいたフィクションだ。100年の間、大衆から語られることのなかった物語は、不安感が漂う現代にも通じる問題を突きつける。
澤田智一(井浦)は、日本統治下の朝鮮で日本軍による虐殺事件を目撃し、妻の静子(田中麗奈)を連れ、故郷の千葉県福田村に帰ってきた。同じ頃、沼部新助(永山瑛太)率いる薬売りの行商団は、四国の讃岐から関東地方へやってくる。
そんな最中、1923年9月1日に起きた関東大震災は、家々を倒壊させ大火災が発生し、多くの命を奪った。助かった人々も震災後の混乱で、日々と自分のことに立ち向かうのに精一杯。そして不安と恐れが高まる中、「朝鮮人が放火や暴動を巻き起こした」という噂がまわり始める。数日後には福田村にも避難民から情報がもたらされ、偶然や恐怖、差別心などが重なり、事件が起きる。
今作について井浦の話を聞いて感じるのは、物事を知り、人と文化を繋いでいくのがどれだけ重要かということ。作品の内容を伝えるのはもちろん、日本映画の文化を支えてきた先人たちから継いでいるもの、それを鑑賞者や後続に受け渡す役割も、井浦は担っているように感じる。愛が深くなければ、ここまでできないとも思う。心に響くロング・インタヴューをお届けしたい。