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短期連載 PENTAXフィルム・プロジェクト部日誌 vol.10 Guest 鈴木 仁

JAN. 23 2025, 11:00AM

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撮影&文 / 多田メラニー
スタイリング / 田村和之
ヘア&メイクアップ / 菅井彩佳

「フィルムカメラの新規製造」を目指す〈PENTAX〉「フィルムカメラ・プロジェクト」の過程を追う本連載。新作フィルムカメラ『PENTAX 17』が誕生しましたが、引き続き〈PENTAX〉の挑戦を追い続けます! 今回は『MEN'S NON-NO』専属モデル、俳優の鈴木 仁がご登場。大のカメラ&写真好きで『PENTAX 17』ユーザーでもある彼と、カメラ事業本部・開発センター・ハードウェア設計部・部長の飯川 誠、カメラ事業本部・事業企画センター・商品企画部の鈴木タケオ(以降、タケオ)と“イチナナ”トークを。

バァフ PENTAX 17』の発売後、リアル・ユーザーにご登場いただくのは本連載初なのですが、〈PENTAX〉チーム一同、鈴木さんのご登場を熱望しておりました。

鈴木 こちらこそ、お声掛けいただいてとても嬉しかったです。『17(イチナナ)』は予約開始直後に店舗で予約をして、初回分は間に合わなかったんですけど、追加分の入荷タイミングで手に入れました。待ちきれずにその場でフィルムを入れて、店舗から駅まで歩いて帰りながら撮った写真がお気に入りです(後半の写真③に掲載)。ハーフのフィルムカメラは唯一持っておらず、欲しいなと思っていた時期に発売情報が出たので、運が良かったです。

バァフ 今回鈴木さんには、私物の『17』で撮影したお写真をお借りしましたが、さまざまなシチュエーションで使いこなされていて、どれも素敵でした。実際に使用された感想はいかがでしたか?

鈴木 面白いですね。普段使っているカメラが『Nikon F』や『F2』などで、ゾーンフォーカスはあまり馴染みがなかったんです。『PENTAX 17』は歩きながらスナップ的にも撮れるカメラじゃないですか。慣れるまでは距離感の取り方が少し難しかったですが、(パンフォーカスで)気楽に撮れるオートもありますし、場所によって選べる機能も多いので楽しみながら使っています。(『PENTAX 17』が気になる方はこちらへ)

タケオ ありがとうございます。距離からゾーンを決めるのも、慣れが出てきた時に初めてクイックに使えるようになるので、段々と馴染んでくると思いますよ。

鈴木 目視での距離の計り方はだいぶ慣れてきました。最初の頃はミスも多かったですが、ボケ感やピンズレも意外と悪くないなと。大体36枚撮りフィルムを入れるので、ハーフだと72枚分撮れるのも魅力ですよね。1枚1枚丁寧に撮りつつ、思い切りよくも撮れますし。

飯川 最初の何枚かはゆっくり大事に撮っていても、気持ちが乗ってくるとバシバシ撮っちゃうんですよね。その走っていく感じが72枚あるからちょうどいいし、これは多少失敗してもいいかなと思えたりもして。

鈴木 僕、登山も趣味でして、友達と一緒に山を登っている時やその道中なども撮るのですが、大抵は日帰りなのでフィルム1本分を撮り切るのにちょうどいい枚数なんですよね。付属のストラップも重宝しています。グリップがすごく持ちやすいし、「カメラを落とすことはないな」と思って最初は付けなかったけど、付いているとやっぱり安心だし、何よりストラップの長さで25cmの距離が分かることも助かります。

バァフ 前回ご協力いただいたフォトグラファーの方々からも、ストラップの便利さについてたくさん声が挙がりましたよね。

タケオ 嬉しいなぁ。手巻きはどうでした?

鈴木 巻きの感触がいいですよね。カメラに興味を持ったきっかけが、実家に眠っていた『PENTAX MZ-L』だったので、扱いに慣れているし音も好きなんですけど。でもやっぱり、1枚1枚の重み、連写ができない感じは手巻きならではの良さだなと思います。

タケオ 僕は手巻きのフィルムカメラを新品で使っていた経験があるのですが、今だと中古でしか手に入らないし、新品の頃の方がきっと動きや音が滑らかだったんですよね。もちろんエイジングが進んで味が出るのもいいけれど、手巻きのメカを新品で味わえることはすごく貴重なんじゃないかと思って。だからこそ、またフィルムカメラを復活させて、初めて使う方に触って実感してほしかったんです。「これが新品の手巻きの感触なのか」と。

飯川 手の力って、みなさん千差万別じゃないですか。ゆっくり回す人もいれば素早い人もいて、電動でしたらコントロールできますが、これは手動なので、強度や使い勝手の調整が意外と大変なんですよね。巻き上げて1枚ずつカウントする枚数板の部分も、電気ではなくメカで動いているから内部も複雑で。巻き上げ音の大きさにもかなりこだわりました。

鈴木 そうなんですね。巻きの音、僕はめっちゃ好きで、たまに音を聞くためにゆっくり回します(笑)。同い年の友達でカメラマンの方がいるんですけど、『17』を持っているとたまに「触らせて」と言って、大体ゆっくり回していますね。機械が手元にしっくりくる感覚と音の馴染み方がすごくマッチしているなと感じます。あと、先ほどの話じゃないですが、まだカメラをあまり触ったことのない子たちでも、オートで簡単に撮れるのがいいですよね。『写ルンです』とかって、若い世代にも馴染みがあるじゃないですか。フォーカスを合わせる知識がなくても、『写ルンです』とほぼ一緒で、オートで撮れるよと説明ができる楽さもありますし、誰でも使える身近さがすごいです。

飯川 実はタケオさんも僕もオートを多用していますが、露出なども気にせず完全にカメラ任せで撮れる楽しさがありますよね。ちなみに、普段フィルムは何を使われていますか?

鈴木 ハーフだったら(ISO)200とかが多いですかね。一番合わせやすいのかなと。

タケオ 少しお値段は張りますが、リヴァーサル(ポジ)フィルムもぜひ試してみてください。

鈴木 ちょうど家にポジがあるので試してみようかな。モノクロは合いますか?

飯川 いけますよ。『17』はモノクロのコントラストを調整するフィルター・ワークも楽しめます。

鈴木 まだまだ遊びがいがありますね。

飯川 『17』が完成して、我々はまた次のカメラ作りに向かっていくのですが、どんなカメラがあったらいいか、ぜひご意見を伺いたいです。デザイン的にはクラシックなモデルに惹かれますか?

鈴木 好きですね。『F3』などを使っているので、ゴツい漆黒のヴィジュアルも大好きですし。重さが気になる人もいると思いますが、僕はカメラの大切さを感じられる重さだと考えているので全然抵抗はないです。新しいカメラ、そうですね……僕自身が二眼カメラを使ったことがないので、触れてきていない人も楽しめる、でも二眼の良さも残ったカメラが出たら絶対買います。ヴィヴィアン・マイヤーが好きで、彼女の写真集からモノクロ写真の良さを知ったので、いつか二眼で撮りたい願望があります。

タケオ 参考にさせていただきます! そういえば鈴木さん、写真展も開かれているそうで。

鈴木 毎年開催しています。自分の好きな、写真展という落ち着いた空間の中で、写真の良さを知ってもらいたいなと考えまして。9割方はカメラマンさんに撮ってもらった僕の写真ですが、プラス自分の作品も一部展示しました。僕の写真展をきっかけにカメラに興味を持ってくださる方も多くて、嬉しかったです。

飯川 そういう場で、撮影時の体験談をお話するのも楽しいでしょうね。

鈴木 カメラや写真のことだったら、1時間でも2時間でも話してしまいそうです(笑)。

 

PHOTOGRAPHS BY JIN SUZUKI




①「街を散歩していて撮った何気ない風景も2枚並ぶことでさらに良さが引き立っている気がします」

②「夕方直前くらいのコントラストが良い。花も綺麗に色が出ていて、ピントがずれてしまったのも味になりました」

③「カメラを買って1本目のフィルムで撮ったものです。このカメラの身軽さ、質感を理解できる1枚になっている気がします」

ジャケット(79,200yen) / beautiful people × umbro(ビューティフルピープル 渋谷パルコ2F tel.03-6452-5622)
Tシャツ(22,000yen)、デニムパンツ(45,100yen)/ beautiful people(ビューティフルピープル 渋谷パルコ2F) ※すべて税込

INFORMATION OF PENTAX

〈PENTAX〉「フィルムカメラ・プロジェクト」の紹介動画や、『バァフアウト!』掲載記事をまとめたサイトを公開中。

【WEB SITE】
『PENTAX 17』の製品特長について
ricoh-imaging.co.jp
「フィルムカメラ・プロジェクト」について
ricoh-imaging.co.jp
【Instagram】
@pentax.jp
@pentax.film.photography

【X】
@ricohimaging_jp

 

INFORMATION OF JIN SUZUKI

『MEN’S NON-NO』専属モデル、俳優として活躍中。

【WEB SITE】
amuse.co.jp/artist/A8815
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@jin_suzuki_722
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@jin_suzuki722

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