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短期連載 PENTAXフィルム・プロジェクト部日誌 vol.3 Guest 上白石萌歌

MAY. 19 2023, 12:05PM

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撮影&文 / 堂前 茜 スタイリング / 道端亜未 ヘア&メイクアップ / 坂本怜加(アルール)


ベスト(69,300yen)、シャツ(69,300yen)、パンツ(77,000yen) / 以上、MM6 Maison Margiela(マルジェラ ジャパン クライアントサービス tel.0120-934-779) ※すべて税込

「フィルムカメラの新規製造」を目指す〈PENTAX〉「フィルムカメラ・プロジェクト」の過程を本連載で追います。第3回ゲストは、女優の上白石萌歌。高校生の時からフィルムカメラを愛用しているという彼女に、フィルムカメラとフィルム写真の魅力についてたっぷり語ってもらった。チーム〈PENTAX〉からは、〈リコーイメージング〉取締役・事業戦略担当の田部井章英、PENTAX事業部・開発統括部・第2開発部・部長の飯川 誠、商品企画・デザイナーの鈴木タケオが参加。話は大いに盛り上がった。

田部井 上白石さんがフィルムカメラを使い始めたきっかけは何だったんですか?

上白石 私の父が写真が好きで、小さい頃からデジタルカメラで私たちのことをずっと撮ってくれていたのですが、ある時、私が2歳で姉が4歳くらいの時に撮ったフィルムのネガが出てきたんです。現像したものを見た時に、ものすごく感動して。「あぁ、ここに時間が眠っていたんだな」と感じました。フィルムの良さって、その場では確認ができない分、時間の経過などいろんなものが感じ取れるところで。そこからフィルムに興味が湧きました。最初にフィルムカメラを使ったのは、曽祖父が現役で使っていたもの。それを借りて撮り出したら面白くて、「こういう感じで撮れているんだ」といろんなことが発見できて。それが高校生くらいの時です。

バァフ 使い方はどう学んだのですか?

上白石 高校のお友達でフィルムが好きな子がいたのでその子に聞いたり、周りに詳しい子がいました。女優さんだと黒島結菜ちゃんと朝ドラで共演する5年前くらい、私がまだ高校生でご一緒した時に、彼女がフィルムの一眼を使っていて、めちゃくちゃ詳しくて。「これはここに行けばいいよ」など色々と教えてくれたり、結菜ちゃんのカメラで撮らせてもらったりして、自然と知識は増えていきました。ただ、コンパクトは押すくらいでしたが、一眼だとそうはいかないので、自分でもネットで調べたり、詳しいYouTuberの方の動画を観たりしていますが、なかなか使いこなせていなくて手探り状態です。だけどレンズを変えたりすると全然写真の深みが違うのでもっと勉強したいなと思っています。

バァフ やっぱり一眼は違いますか?

上白石 そうですね。没入感が一眼の方がある気がします。覗くと、自分とカメラのレンズの中で見えている世界しかないので、つい集中してしまいます。私、カメラを覗いている時の顔が、お芝居している時より集中していると言われるくらい、集中しているみたいで(笑)。呼吸も忘れているんじゃないかっていう(笑)。それと、フィルムの1枚1枚をガシャンと撮る感じとか、現像するまで分からない感じとか、やっぱりいいなって。あと——まだカメラの知識が浅い時に、ある現場でフィルムを使って撮っているカメラマンさんに会って。「なぜフィルムで撮っているんですか?」と聞いたら、その方は震災を現地で経験された方で、デジタルは永遠じゃない、と。所詮データで、保存場所さえちゃんとしていれば大丈夫だけど、フィルムはモノとしてあるからネガが死なない限りはずっと残るからだ、と教えてくださって。やっぱり、モノとして触れる気持ちや残せる想いは愛おしいですよね。

鈴木 あぁ、今日来てもらって良かった。

飯川 本当に嬉しいですよねぇ。

上白石 普段、フィルム愛を話せる場所があまりないので、私こそ嬉しいです。

バァフ 今はフィルム代も高騰していたりと、不自由な面もありますが、ここがもっとこうなればいいなぁと思うことはありますか?

上白石 やっぱり、フィルム代が高いですよね。だって今、1本2000円しなければいい方で。だから余計に、1枚撮るのにすごく慎重になってしまっています。そこが良いところでもあるとは思うんですが。気楽に楽しめなくなってきているなというのはありますね。

鈴木 我々の今回のプロジェクトは、フィルムカメラを作ります、という話ではあるのですが、本体を作るだけではなくて、フィルムの供給と現像、この3つが合わさって初めてみなさんが安心してフィルムカメラを使える環境になると思っているので、そこもどうにかならないかなと取り組んでいるところです。いろんな情報を発信することによって周りのフィルムメーカーさんや現像屋さんなど、みんなが一体となって盛り上がっていけば嬉しいなと思っていて。

上白石 すごく素敵です。

バァフ 上白石さんとしては、今どんなカメラが欲しいですか? 性能とか見た目とか。

飯川 ぜひ知りたいですね。みなさんの意見を聞きながら、我々は開発していっているので。

上白石 家で色々と書いてきたんです(と言ってメモを鞄から取り出す)。一眼に近いコンパクトカメラが欲しいです。あったら面白いなと。

鈴木 ほら、きた!

田部井 全部お聞きしましょう(笑)。

上白石 いや、大したことは書いていないんですけど、私、一眼のカチンという音が好きで、コンパクトでも、そういう音が聴けたりすると嬉しいし、一眼の奥行きをコンパクトで再現できたらもっと嬉しいなって。あとはコンパクトなのにレンズ交換ができたり、ちゃんとマクロまで写せたらすごく素敵だと思うんです。

飯川 マクロ、良いですよねぇ。

上白石 一眼の写り自体も好きですが、どうしても旅行やお散歩する時は荷物のことを考えてコンパクトを持っていくので、もしコンパクトで一眼の写真が撮れたら革命だなと。

鈴木 革命ですね! コンパクトと一口に言っても、本当にいろんなタイプがあって。自動巻きだったり、手巻きだったり。小さいものから一眼に近いものまで。だから我々はまさに今、どういうものを作るべきかと色々と悩んでいるところでしたので、参考にさせていただきます。

バァフ 見た目のイメージはありますか?

上白石 手触りがいいもの。私が今日持ってきたこれ(〈OLYMPUS〉のフィルムカメラ)もレザーで、カッコ良いんです。あと、結構寄れます。

飯川 蓋の開き方も可愛い。

上白石 そうなんです、良くないですか?

鈴木 ズームも利くし。どこにそんなにたくさんの機能が入っているんだろう?っていう。

上白石 持っていて気分が上がるカメラっていいですよね。デザインとしては、私はやっぱりクラシックな方が好きですね。

飯川 (笑)今うちの鈴木が相当喜んでいます。

鈴木 もうドキドキしながら聞いています。

上白石 平成の時に、青や黄色とかの原色のカメラも流行ったと思うのですが、長く使うことを考えると、飽きのこないクラシックな方が私は好きかもしれません。あと手巻きも好きです。でも選べるといいですよね、自動と。巻く癖がない時、撮ろうと思って撮ったら、「あっ、巻いてなかった」ということが何度かあって。

バァフ 最後に、このプロジェクトに何か励ましのお言葉でもいただけますと嬉しいです。

上白石 私がフィルムを好きな理由は、時間が眠っていたり、撮る人の気持ちがそのまま写っている気がするのが素敵だなぁというところで。昔の知識を活かしてヴァージョン・アップさせる、温故知新な取り組みは日本人ならではとも思いますし、私も絶対買うので。今日色々とお話を聞けて、写真好きで良かったなと思いましたし、全世界の人が楽しみにしていると思うので、大変かもしれませんが、頑張ってください!

 

PHOTOGRAHS BY MOKA KAMISHIRAISHI

「普段どんな写真を撮っていますか?」と上白石に聞くと、「まず、父が撮った写真をお見せしたいんですけど」と言って見せてくれた写真は、まだ赤ん坊の彼女と母親が写った写真。「世界で一番好きな写真なんです。父の、母と私への気持ちが滲んでいる気がして、初めて見た時に感動しました」と教えてくれた。
①②③「お仕事で地方に行く時、カメラを持って行くこともあります。空や雲の写真を撮ることが普段から多いかな。現地の方を撮ったりもしますが、いきなりカメラ向けるって結構なことじゃないですか。撮影現場に持っていったりもしますが、信頼関係がないとできないことだから、徐々に仲良くなって、『これはいけるかな』と思ったら、さりげなく出して撮らせてもらったり。人にカメラを向けるのは責任が伴う行為な気がします」

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Film Project / PENTAX | RICOH IMAGING

 

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毎週金曜夜10時より〈TBS〉系にて放送中のドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』に出演中。『The Covers』〈BSプレミアム〉のMCを務める。

 

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