APR. 17 2023, 12:00PM
撮影 / 南部恭平 スタイリング / 松尾正美 ヘア&メイクアップ / 鈴木海希子 文 / 堂前 茜
ジャケット(39,600yen) / PANORMO(PR01.TOKYO tel.03-6805-0904) 右人差し指リング(84,700yen)、右中指リング(右中指)(19,800yen) / 共に、e.m.(e.m. 青山店 tel.03-6712-6798) ブレスレット(25,300yen) / リューク(info@rieuk.com) ※すべて税込
バァフ 堀田さんのフィルムカメラとの出会いは、何かきっかけがあったのですか?
堀田 「写ルンです」が流行り始めたくらいだったと思います。周りの友人で手軽に撮る人が増えて、ある時両親に「昔使っていたカメラってある?」と訊いてみたら、〈富士フイルム〉さんのコンパクトカメラがあって、それを使い始めたのが最初です。周りの友人も、デジカメも含めて、新しい機種のカメラを買うというより、昔のものを購入している子が多かったです。
バァフ 松岡さんはポートレイト撮影では必ず「PENTAX 67Ⅱ」で撮ってくださっていますよね。
松岡 そうですね。〈PENTAX〉との出会いはスタジオマン時代にこの「PENTAX 67Ⅱ」を買ったのが最初で。だからもう20年くらいか(笑)。〈PENTAX〉のコンパクトも仕事で使っていますが、僕の使い方が悪いのか——いっぱい押すから(笑)——壊れるんですよね。消耗品的なところがある。だけど、その壊れた感じの写りが良いなぁっていう時もたくさんあって(笑)。
鈴木 修理しようにも修理ができないのも、フィルムカメラのネックの1つだと思うので、我々としてはきちんと修理できて安心して使えるフィルムカメラを作りたいと思っているんです。
バァフ フィルムカメラやフィルム写真の魅力はどういうところだと思われますか?
堀田 失敗しても何か楽しい(笑)。ちょっとした線が入っちゃったりしても、思い出の1枚として保存したくなりますよね。旅行に行った時は、一応怖いので携帯でも押さえつつ、フィルムカメラも思い出を撮っておくために持って行っています。上手く撮れた時は嬉しいし、雰囲気がやっぱり全然違うじゃないですか。
田部井 普段はどんな写真を撮られますか?
堀田 私は景色が多いです。空も毎日いろんな表情をするのが面白くて。海もそうですが、私は青という色がすごく好きなので、特に自然の青は撮りたくなります。今回松岡さんに撮っていただいた写真集の撮影で奄美大島に行ったのですが、そこにも持っていきましたね。
バァフ 今日は特別に発売前ですが色校(試し刷り)をお持ちいただいたので見ながら話せればと思います。
松岡 (色校を捲りながら)これも「PENTAX 67Ⅱ」ですね。あ、この写真も。
飯川 めちゃくちゃ、嬉しいですね。
鈴木 色もとても綺麗に出ていますね。
バァフ 堀田さんは普段ファッション誌などではデジタルカメラでの撮影も多いと思いますが、フィルムカメラで撮られる時との違いを感じられたりしますか?
堀田 フィルムカメラだとその場で確認できないじゃないですか? だからもう、心を委ねるって感じですね。委ねながらも「こういう雰囲気を求めてくださっているのかな?」と自分自身ができることを探ったりしています。フィルムで撮ったら雰囲気のあるものに仕上がるのは間違いがないので、自然体な自分でいようとも意識しています。ファッション性はあまり考えず、顔も決め過ぎず。半目であろうと、写真として良ければいいんじゃないかなって。
バァフ 「PENTAX 67Ⅱ」はシャッター音が独特ですが、そういうのも気にならないですか?
堀田 ガシャーっていう(笑)。むしろ気持ちいいです。撮られている時に音がしないと、どういうタイミングでシャッターを切られているか分からなくて。それが良い時もあるのですが、(音がすれば)今という瞬間が分かるし、お互いが通じ合いながら、撮られ、撮っている感じがするのが好きで。実は松岡さんとご一緒したのはこの写真集で2度目だったんです。だけど今回、どなたとご一緒したいですか?と訊かれた時、松岡さんのお人柄が初対面で好きになったのを思い出して、松岡さんがいいですって。
松岡 嬉しい。
堀田 そこはやっぱり大事だなと思っていて。撮ってくださる人と、撮られる側の関係性。
田部井 呼吸感みたいな感じですか?
堀田 そうですね。言葉じゃない雰囲気をお互いくみ取れる人でないと、5日間も行っていたので、難しいかなと思っていたんです。
バァフ 松岡さんは人を警戒させないし、ニコニコと楽しそうに撮られるのも魅力ですよね。いろんなカメラを使われてきたと思いますが、どの現場でも「PENTAX 67Ⅱ」をメインで?
松岡 はい。やっぱり一番、信用しているから。「PENTAX67Ⅱ」が僕に合っているというか、自分でコントロールしつつも、任せるところは任せられるカメラなんですよね。絞りとかを変えたり、ちょっと明るく撮ったりもできるけど、完全にマニュアルじゃなくても撮れるのも良くて。もうね、本当に助けられる。あと色が綺麗なんです。〈Leica〉が好きとか〈Hasselblad〉が好きとか、色々あると思いますけど、写真家でこの「PENTAX 67」シリーズが嫌いな人はいないと思う。何だろう? 眼みたいな感じです。ピントとかも意外とラフにいけるし。僕は機械が得意じゃないから、直感的に使えるのも合っていて。デジカメはちょっと難しいんですよ(笑)。
鈴木 僕ら、現場でこんなに「PENTAX 67」シリーズが使われているとは存じ上げず。プロジェクトがきっかけで今回『バァフアウト!』さんにお声掛けいただいて初めて知ったことが多くて。
飯川 撮られている方の話も、とても新鮮です。我々はメーカーの人間なので、撮っている人のお話を伺うことが多く、内容は機能面の話題がほとんどなので(笑)。
バァフ 堀田さんはフィルムカメラを使っていくにあたって、ここがこうなればいいな、など、改善して欲しいところはありますか?
堀田 カメラ自体より、現像する場所、ですかね。どうしても自分では現像できないので、町のカメラ屋さんに出すのですが、やっぱり友人たちとのプライヴェートな写真を出す時に、ちょっと緊張してしまうところもあって……なのでお家で手軽に現像できるようになったらいいなと。
バァフ 現像所の方は中身が見られますからね。
堀田 なので出す写真も選んでしまいます。
バァフ 最後に写真集の見所をお願いします!
堀田 今回、1st写真集ということで……役者とモデル業とやっている中で、そういったお仕事をしている時の自分ではない、ありのままの堀田真由、24歳の自分というものを形として残したかったんです。それにあたって、撮っていただいている人と心を通じ合わせて作り上げられたらいいなと考えたので、デジタルではなくフィルムで撮っていただきたいなと思って。で、フィルムなのであれば一哲さんにお願いしたいなと。「PENTAX 67Ⅱ」で撮っていただいた写真を見ると、色が鮮明で本当に綺麗だし、全部がパキッと写っているものではないからこそ、大事なところに焦点が当たっているし、湿度など、行っていない人でも感じられるような体感がこの写真集を見ていて伝わると思います。1冊の温度が高い。フィルム写真の良さが全面に出ています。あと、Wi-Fiも繋がらない場所だったので、情報が遮断されていて、データとしての写真ではなく昔に作られたカメラで撮られることで、気持ちとしても原点に戻ったような感じがしました。
写真集『MY』より。「『ESPIO』とか、〈PENTAX〉のコンパクトカメラでも結構撮っています。バルブができるのも良くて。シャッターを開けといて何秒か写せるからちょっとブレた写真が撮れる。バルブとストロボの組み合わせは便利ですよね。奇跡みたいな写真がたまに撮れる(笑)」(松岡) 「膨大な枚数があったので選ぶのは大変でしたが、実は表紙のカットは初日に撮っていたもので、裏表紙は最終日の写真なんです」(堀田) 「着いて早々、バッテリーがないと大騒動になって(笑)。簡易的なパネルライトで撮りました。ほぼレタッチしていないですね。フィルムってレタッチいらず。堀田さんの肌が元々綺麗なのもありますが(笑)」(松岡)
INFORMATION OF PENTAX
Film Project / PENTAX | RICOH IMAGING
【WEB SITE】
ricoh-imaging.co.jp
INFORMATION OF MAYU HOTTA
1st写真集『MY』(写真・松岡一哲)が〈集英社〉より発売中。ドラマ『風間公親-教場0-』〈フジテレビ〉系に出演中。
【WEB SITE】
www.amuse.co.jp/artist/A8680
【Instagram】
@mayuhotta
INFORMATION OF ITTETSU MATSUOKA
自身が撮影した堀田真由写真集『MY』が発売中。4月22日から5月20日まで〈amanaTIGP〉で個展開催。5月25日から7月30日まで、企画展『Tokyo Games』を〈SHIBUYA SKY〉にて開催。
【WEB SITE】
ittetsumatsuoka.com
【Instagram】
@ittetsumatsuoka