FEB. 7 2025, 11:00AM
写真家の名越啓介が、2月11日より〈Gallery5610〉にて個展『DUNE』を開催する。
2023年2月から約1か月に渡り、サハラ砂漠にて撮影をおこなった名越。トゥアレグ族と生活を共にしながら撮影した写真群約20点と、東京大学の研究チームと一緒に制作した、温度で写真が浮かび上がる作品1点からなる本展示。サハラ砂漠での旅を終えた名越は、「幽玄さ」がトゥアレグ族と日本人の共通点として感じられたという。彼らが身につける装飾品は繊細でありながらも鋭い彫金技術が施されていて、繊細な日本人が持つ幽玄な美的感覚があるとのこと。
会期中はシューズ・ブランド〈SUICOKE〉から出版した写真集『TUAREG』の販売も。名越が見つめるトゥアレグ族の文化とサハラ砂漠の景色を、ぜひ会場で感じ取っていただきたい。
砂の惑星
ゆっくりと歪みながら沈む太陽の
逆側に姿をみせる巨大な月。
紅く燃えるあの境界線の
向こう側にはもうあの場所はない。
いつか再会できる日を信じている。
口の無い旅人は心に話かけた。
ひとりの遊牧民が
砂の上にある記号を
描きながら話しだす。
目の前の砂漠は
間違いなく我々の土地だ。
この砂こそが故郷。
見上げると夜空と地面が
ひっくり返り、
衛星が逆流していくのが確認できた。
あの地平線にゆっくりと轟く
漆黒のあの点。
一体何者だ……
名越啓介