この夏、最も熱いドラマの1つと言えると思う『真夏のシンデレラ』に出演中の大西利空。海でサップのインストラクターをしながら実家の飲食店を手伝う、主人公の蒼井夏海(森 七菜)の弟・海斗役を好演中だ。海辺で生まれ育った女性たちや、東京でエリートとして生きる男性たちが真夏の海で出会い、感情や本音をぶつけ合いながら成長していく。
姉の恋を見守る家族思いの海斗は、思春期の高校生らしく複雑な感情を抱えるナイーブさもあり、共感できる「いいヤツ」だと話していた。大西も、現在17歳の高校生。話を聞くと海斗と同様に、人と関わって成長してきていた。自我が芽生える前に子役からキャリアをスタートさせ、芝居との向き合い方が徐々に変わっていったのも、これまでの様々な出会いがあったからだと、はにかんだような笑顔で答える。素顔の大西はとてもチャーミングな人柄で、撮影中も好きなK-POPや野球愛を語ったり、カッコ良いジャケットの羽織り方ができずに四苦八苦したりと、人間味があって色々な表情を見せてくれる。他にどんな顔を持っているのかと、どんどん興味が湧いてしまう。すっかり心を掴まれてしまった。
バァフ 海斗をどういう青年だと思って演じていますか?
大西 とにかく明るいし、ちょっとおバカなところが可愛いですよね(笑)。でもそこが海斗の良いところだと思うので、素直に感情を出そうと意識して取り組んでいます。撮影が進むにつれみんな仲良くなっていて、現場の雰囲気が良いので意識しなくても、相手の方と対峙するだけで海斗になれるんです。共演シーンの多い森さん、父親役の山口智充さんとは撮影のこともそれ以外のことでも楽しくお話させていただいていて、和気藹々とした感じです。特に山口さんはモノマネも披露してくださったりしますし、こんなに近くで見られるのは役得だなと思います(笑)。
バァフ 海斗は明るさもありつつお姉ちゃんを心配したり、家族思いのところは共感する部分も多いのでは?
大西 家族でお店を経営するにあたって、お父さんだけじゃなくお姉ちゃんもこの家の大黒柱だから、尊敬していると思うんです。それにお姉ちゃんの変化にもすぐ気付ける優しさもある人だし、海斗は案外いいところついた発言をする時もあるんですよね。僕も幼い時からこの仕事を始めていて、小さい頃は母と台本の読み合わせをしていました。ずっと協力してもらっていたので、両親を尊敬しているし感謝しています。そういう点でも海斗には共感できるし、ただいい子なだけじゃなくてたまに反発もするけど、家族の言うことは素直に受け入れるところも好きです。いいヤツですよね。
バァフ 夏海に想いを寄せるエリートの健人(間宮祥太朗)などがお店にやってくるシーンもあります。今作のキャストの皆さんは芸達者が揃っていて、それぞれお芝居のアプローチも違うと思うのですが、近くでご覧になっていて刺激になることはありますか?
大西 そうですね。間宮さんは役柄での関係と同じように可愛がってくれますし、お芝居の引き出し方も見ていて本当に勉強になります。役柄と実年齢が離れている方もいらっしゃいますが、その役にしか見えないのが僕からするとすごいことだし、撮影現場の雰囲気の良さがそのまま映像に映っているシーンもあって、それがとても良かったんです。個人個人が自分の役に向き合うのはもちろんなんですが、今回は特に現場でのコミュニケーションも大事なんだと思いました。
バァフ 大西さんご自身は子役として活躍されてきて芸歴も長いですけれど、年齢的には年上の方と共演が多いと思います。皆さんとどのようにコミュニケーションを取ろうとされますか?
大西 あまり意識はしていないのですが、同じ趣味とか話せる内容を見つけようとしています。特に、僕はすごくおしゃべりで、明るくて面白そうな人だとより話したくなっちゃいます(笑)。1人でいる時間が苦手ではないですが、人といるときは話したいなって思う方だし、話してくれる人の方が好きなのかもしれないです。
バァフ この作品は海辺や夏らしいアクティヴィティのシーンも多いです。大西さんご自身は、夏に友人たちと出掛けるとしたらどこに行きたいですか?
大西 えー、難しい、なんだろう? 実はあまり人混みが得意じゃなくて(笑)。とはいえお祭りで屋台を回るのは好きで、特に射的とか子供心を揺さぶるようなゲームを久々にやりたいです。あと、海は好きです。この作品の撮影でも江ノ島に行ったのですが、ロケ地に向かっている間も帰りも、海を見ながらずっとワクワクしていました(笑)。スポーツも好きなので、今年は高校の友達とみんなでサップしに行きたいなって話しています。
バァフ ここ近年「夏の王道恋愛ドラマ」の放送が少なかった中で、本作に懐かしさやときめきを感じている視聴者の方も多いのですが、大西さんや10代の皆さんがどのようにご覧になっているのかも気になって。反響はいかがですか?
大西 学校の友達も観てくれていて、すごく面白かったって言ってくれます。僕自身、懐かしさは分からなかったんですけどストーリーが面白くて、撮影前から楽しみにしていました。人間関係の描き方が絶妙だと思うんです。もう会わないだろうと思っていても何度か鉢合わせて結局みんなでご飯を食べたり、運命的だけど実際にもありそうなシーンが多いんです。話が進むにつれて関係性が複雑になる部分もあるけど、どうなるのかドキドキしながら台本を読んでいます。
バァフ 先日公開されたご出演映画『水は海に向かって流れる』のインタヴューを拝見して、つまずきと悩みがあったとおっしゃっていました。長いキャリアの中で、今はどうお芝居と向き合っていますか?
大西 僕はあまり役を作り過ぎないタイプなんです。もちろん台詞は覚えていきますが、そこからは現場の雰囲気に合わせることの方が大事だと思っています。撮影の初日までに、最初はある程度作ったりしますが、固め過ぎると相手が出してくれるものを受け取り難い時があって。
バァフ そういう意識って、幼い頃はまだ自我が育っていなかったと思うんですけど、いつ頃から考えるようになりましたか?
大西 作品を重ねて、監督と話すようになって徐々に。小学校高学年になってからかもしれません。それまでは家で練習するタイプで、母と読み合わせをしながら入念に役作りをしていた時期もあるんですが、気持ちが変わってからは 1人で覚えるだけ覚えて、現場でのやり取りを見てからどんな風にも変えられるように心掛けています。
バァフ 先月、『1秒先の彼』という作品で山下敦弘監督にもご取材して同サイトに記事をご掲載しているのですが、2016年に『ぼくのおじさん』でご一緒されていますよね。その頃はもう意識が変わった頃ですか?
大西 わ、もちろん覚えていますよ、山下監督懐かしい! この頃は意識の境目だったかな。ちょうど10歳だったと思うんですけど、物語の中で特徴的な役だったし、当時はそんなにキーマンの役が多くなかったので、監督と相談して自分なりに考えてやっていたように思います。『ぼくのおじさん」もそうでしたが今作でも、作品ごとに気付くことを積み重ねて、いろんな感情を引き出せる俳優になっていきたいです。
©フジテレビ
『真夏のシンデレラ』
監督/田中 亮
脚本/市東さやか
出演/森 七菜、間宮祥太朗、神尾楓珠、吉川 愛、萩原利久、白濱亜嵐、仁村紗和、水上恒司、大西利空、森崎ウィン、桜井ユキ、山口智充、他
毎週月曜21時より〈フジテレビ〉系にて放送。〈TVer〉〈FOD〉でも配信中
【WEB SITE】
www.fujitv.co.jp/natsu_cin
INFORMATION OF RIKU ONISHI
〈NHK〉大河ドラマ『どうする家康』に、織田信長の家臣・森乱役で出演。映画『水は海に向かって流れる』では広瀬すずの相手役を演じた。
【WEB SITE】
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@rikuonishiofficial