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BOOK-ING volume 24 November 2019

Featuring間宮祥太朗 SHOTARO MAMIYA

これまで『帝一の國』、『お前はまだグンマを知らない』、『不能犯』などで特異な役を堂々と演じ切り、初主演作『全員死刑』で上半身和彫りだらけの役を選んだくらいの間宮祥太朗だから、これを言うのは非常に心苦しいが、それを承知で言うと、映画『殺さない彼と死なない彼女』(原作は世紀末の同名漫画)の間宮祥太朗が一番だぞと。めちゃくちゃカッコいいぞと。彼の真骨頂はここにあるぞと。演じた小坂れいは、無感動で退屈な日々を送る高校三年生だが、自傷行為を繰り返す鹿野なな(桜井日奈子)には興味をとめ、共に時間を過ごすようになる。「死ね」、「ブス」、「殺すぞ」が口癖だが、鹿野を誰よりも側で見守り、ぶっきらぼうだけど繊細で、眼光は鋭いのに鹿野を見る目には優しさが滲み出る時があり……などなど、少女漫画に出てくるキャラクターのようだが、変な甘ったるさや非現実性のない、人間としての魅力に溢れる青年として演じているのだ。

「監督から『間宮くんは、一番力を抜いた状態で、好きに適当にやってくれたらいい』みたいなことは言われました。『ベースとして抜いてほしいのは大前提としてあるけど、思い付いたことがあれば、1テイク目と2テイク目が全然違ってもいいから、その時にやりたいように、見たいところを見て、聞きたい台詞を聞いて。その時の反応で素直にやってくれたらそれでいい』と。この現場が幸せだったのが、1日に1シーンしか撮らない日もあって。照明部がいないので監督が陽を見ながら、自然光でやっていたんですが、午前中から雲っていて絶対にこの時間帯でしか陽が出ないだろうという日は、ピンポイントな時間まで何もしなかったり(笑)。全体的にちょっとスロー。だから良い意味で自然と力が抜けられた現場でした」

間宮は顔立ちが良いのにファニーな役や奇天烈な役ばかりやるギャップも含めて面白い役者だし、それがもうデフォルトになっていた中で、遂にきた二枚目の役がまぁハマる。

「どちらかというと変わった役だと力が入るじゃないですか。ギアを入れてやらなきゃいけないから、何か“やった感”があるんです。だけど今回は普通に喋っていただけだったので、そんなには手応えを感じていなかったので、誉められると嬉しいです」

クラスメイトの女の子に「殺すぞブス」という言い方の何とナチュラルなこと。正直この役は実際の本人と地続きじゃないかな?と思ったくらいだったのだけれど……。

「そもそも俺は口が悪いですからね(笑)。こういうちょっと汚い言葉を口にする時って、言葉を口にすること自体、言い慣れていないと繊細になるじゃないですか。例えばヴァラエティ番組とかだと、センシティヴにならざるを得ないですけど、自分は仲間と飲んでいる時はまったく気にしないですし、そういうのが普段からストレスなく口から出る人間なので、台本にある台詞自体、喋りやすかったです。あと会話の繋ぎ方、台本の組み立て方もすごく良かったので。創作だから仕方ない部分はあると思うんですが、会話し過ぎている本って結構あると思っていて。説明台詞とかも入ってきたりしますしね。だけどこの台本は、鹿野が何か言っていても聞いていなくて、『てかさぁ』って全然違うこと言う。でもその方が、普通に生きている上での会話の温度に近いよな、と思います」

 

RECOMMEND BOOK

『袋小路の男』

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 「10代の頃から『すごく良いな』と思っていて、友達に『実写化したら……』と−−—簡単なことじゃないと今なら分かるんですが——話をしていました。小坂の感じに通ずるものがある男が出てきます。年齢は少し上ですけどね。お芝居でやることになったら、視線を切る仕草とかが面白いんだろうなと思います」
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絲山秋子〈講談社文庫〉刊

INFORMATION OF SHOTARO MAMIYA

『殺さない彼と死なない彼女』

『殺さない彼と死なない彼女』

監督・脚本/小林啓一 
原作/『殺さない彼と死なない彼女』世紀末〈KADOKAWA〉刊 
出演/間宮祥太朗、桜井日奈子、恒松祐里、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、金子大地、中尾暢樹、他 11月15日より全国公開
©2019 映画「殺さない彼と死なない彼女」製作委員会

REVIEW by BARFOUT! editor's

MUSIC  『Devour You』 Starcrawler

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 ヒップホップ、ポップス全盛の今、「ロックの救世主」と評される中での2ndアルバム。「Bet My Brains」の鳥肌もののカッコ良さを聴けば、最早、貫禄すらある爆発力が感じ取れるが、「No More Pennies」のようなメロディアスな楽曲もありで、前作以上に完成度が高いなと。(堂前)
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発売中
〈Rough Trade〉

MUSIC  『かけがえのないもの』 MONO NO AWARE

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 子供の頃、意味もない呪文
のような言葉を口ずさんでい
たなぁと、思わず笑みが溢れる。「かむかもしかもにどもかも!」は、〈NHK〉『みんなのうた』で放送中。かけがえのない家族への愛を歌った「A・I・A・O・U」を含む、八丈島出身の彼らの新作。爽やかで暖かな風を感じ、心にしみる。(岡田)
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発売中
〈SPACE SHOWER MUSIC〉

FILM 『ボーダー 二つの世界』

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 これは確かに「衝撃作」だ。目の肥えた映画ファンを驚嘆させたことも頷ける、観たことがないほど生々しいファンタジー映画。原作は北欧ミステリーの旗手、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(『ぼくのエリ 200歳の少女』)。特殊メイクも物語も凄いしで、とにかく観てほしいとしか言えない。(堂前)
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監督・脚本/アリ・アッバシ 
出演/エヴァ・メランデル、エーロ・ミロノフ、他
〈ヒューマントラストシネマ渋谷〉他、全国公開中
(C)Meta_Spark& Kärnfilm_AB_2018

FILM 『ジョージア、ワインが生まれたところ』

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 ワイン発祥地・ジョージアで世界最古の醸造製法“クヴェヴリ”を守り続け、究極の自然派ワインを作る人々を追う本作(撮影は全編iPhone)。美しき伝統ワイン造りの背景に刻まれた、ジョージア人の生き様は心を打たれるばかり。同時公開の『ワイン・コーリング』も、ぜひ。(多田)
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監督・撮影・編集/エミリー・レイルズバック
出演/ジェレミー・クイン、他
11月1日より〈シネスイッチ銀座〉、〈アップリンク渋谷〉、〈アップリンク吉祥寺〉他、全国順次公開
©Emily Railsback c/o Music

BEST ALBUM OF LIFETIME 『PEARL PIERCE』 松任谷由実

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 今年、全キャリア全曲をサブスク、ハイレゾ配信となったユーミン。僕は1982年発表の今作が大好き。全編跳ねるリズムのミドル&メロウな演奏がグルーヴ感たっぷり。バラードの「夕涼み」もしっかりグルーヴあるし。ペパーミント・グリーン前面に出したジャケットも秀逸。(山崎)

BEST MAG OF LIFETIME 『宝島』  

BEST MAG OF LIFETIME 『宝島』  

 今と違って東京と地方の間に断然たる情報格差があった80年代。10代だった自分は、『宝島』から東京の最先端のカルチャーをチェックしてた。古着の着こなしを提案もファッション誌でないからできたスタンス。海外、特に、当時、最先端の街ロンドン情報もリアルタイム。(山崎)