
BARFOUT! 2023 MARCH

FILM 『バビロン』
1920年代のハリウッド黎明期、昼は野外のスタジオで懸命に働くが、夜はパーティーで激しく遊ぶ、エネルギッシュな狂騒の生活。サイレントからトーキーに移り、もがく俳優もいる。劇的な繁栄と転落! 誰もが映画作りに命懸けだ。「この芸術形態と産業を作り出した人々の狂気と野望と意欲を深求したかった。なぜなら彼らの熱狂的な人生の痛み、高揚と低迷、開拓したものは、今でも生き続けているから」とデイミアン・チャゼル監督。映画に大いなる夢を抱いた先人の覚悟、感性に熱くなる。(岡田)
『バビロン』
監督・脚本/デイミアン・チャゼル
出演/ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、トビー・マグワイア、オリヴィア・ワイルド、他
全国公開中
(C) 2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

FILM 『ベネデッタ』
17世紀に実在したベネデッタ・カルリーニは同性愛で告発された修道女で、ポール・ヴァーホーベン監督曰く、「『氷の微笑』、『ショーガール』、『ブラックブック』、『エル ELLE』のヒロインたちの親戚」。自分はイエスの花嫁だと信じる無垢なベネデッタだったが、あることを機に、権力や理不尽さにヴィジョンと狂言回しで反撃、人とは違う次元に上り詰めていく様をスキャンダラスにセクシャルにスリリングに描く。宗教×禁忌×エロスという神器を手にしたヴァーホーベン無双ぶりが楽しめる。(堂前)
『ベネデッタ』
監督/ポール・ヴァーホーベン
出演/ヴィルジニー・エフィラ、シャーロット・ランプリング、ダフネ・パタキア、ランベール・ウィルソン、オリヴィエ・ラブルダン、ルイーズ・シュヴィヨット、他
2月17日より〈新宿武蔵野館〉他、全国公開
© 2020 SBS PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMA - FRANCE 3 CINÉMA

FILM 『エンパイア・オブ・ライト』
過去に闇を抱える孤独な女性と、未来に不安を持ちながらも懸命に生きる青年が出会い、互いを必要とした。2人の人生に明るい兆しが見え始めた頃、排他主義の波や屈折した自己が押し寄せ、灯りは消えかかる――オリヴィア・コールマン史上最高の演技、サム・メンデス監督による優しい筆致と映画館へのオマージュ、静謐な映像美と気持ちに寄り添い続ける音楽など、すべてが傑出している。〈サーチライト・ピクチャーズ〉が贈るに相応しい、心を暖かな光で灯してくれる1本。(堂前)
『エンパイア・オブ・ライト』
監督/サム・メンデス
出演/オリヴィア・コールマン、マイケル・ウォード、トビー・ジョーンズ、コリン・ファース、他
2月23日より〈TOHOシネマズ日比谷〉他にて、全国公開
©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

FILM 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
アメリカ在住の中国人一家が壮絶な家族喧嘩をマルチヴァース(本作ではインターネットのメタファー)で繰り広げる。母親のエヴリンは別ヴァースからカンフーの達人である自分の能力を会得し、マルチヴァースを自由自在に行き来してきた末、虚無に心を奪われた娘と対峙する。壮大なSFアクション作だが本質は、「自分を見失った時ほど他人に優しく、家族にも親切に」に尽きる。「Ifもしも」を考え出したら収拾がつかないし、失望と絶望の毎日であっても、人を傷付けない戦い方を我々は学ぶべきだ。(堂前)
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
監督・脚本・製作/ダニエルズ
出演/ミシェル・ヨー、ステファニー・スー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス、ジェームズ・ホン、ハリー・シャム・JR、他
3月3日より全国公開
©2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

FILM 『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』
ケシの花をモチーフにした「ウニッコ柄」をはじめ、印象的なテキスタイル・デザインを〈マリメッコ〉に提供したデザイナー、マイヤ・イソラの生き様を紐解くドキュメンタリー。世界中を旅しながら様々な人種や文化に触れ、幾度も恋をし、感受したエナジーを一心に創作へとぶつける。時代の変遷と共に映し出される鮮やかで大胆なデザインは、難儀な人生であるほど輝く彼女の逞しさを表すようだった。芸術活動に欠かさなかった恋=“人を食べること”と形容するなど、その思考も唯一無二。(多田)
『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』
監督・脚本・撮影/レーナ・キルぺライネン
出演/マイヤ・イソラ、クリスティーナ・イソラ、エンマ・イソラ、パイヴィ・ヤルヴィネン(声の出演)、マルギット・ウェステッルンド(声の出演)
3月3日より〈ヒューマントラストシネマ有楽町〉他、全国順次公開
© 2021 Greenlit Productions and New Docs

LIVE 『慣声の法則』SixTONES
年明けすぐに3rdアルバム『声』をリリース、同時にアルバムを引っ提げての全国ツアーがスタートしたSixTONES。観客の声出しも解禁となり、数年分の熱が歓声として響き渡っていた。コンサートでは6人の個性ある声を堪能できる曲が並び、年々無駄なものが削ぎ落とされシンプルなカッコ良さを突き詰めているようにも感じる。既に無敵だと言えるくらいの魅力を放ち、ワンアンドオンリーな存在であり続ける彼らのこの先に、今年も期待は膨らむばかりである。(上野)
『慣声の法則』SixTONES
※ツアーは3月19日まで、全国6箇所で開催中。さらに追加公演として、念願となるドーム公演が決定! 4月15・16日〈京セラドーム大阪〉、4月21〜23日〈東京ドーム〉にて開催。