MainVisual

BARFOUT!2022 September-2

FILM 『L.A.コールドケース』

FILM 『L.A.コールドケース』

黒人差別反対運動が過熱化する90年代のアメリカで、人気絶頂にあったラッパー、2PACとノトーリアス・B.I.G.が暗殺された未解決事件を題材にしたサスペンス。ジョニー・デップが演じる実在の刑事ラッセルは、真実を追うほどにロス市警の闇や人種差別問題にぶつかり、真相の断片を掴んでも、見えない圧力によって雲散霧消する。追い込まれるまま18年が経ち、正義を貫くことの過酷さに無力感も募るが、それでもなお記者ジャック(フォレスト・ウィテカー)と共に事件を追う執念には胸を打たれた。(賀国)

【作品情報】
『L.A.コールドケース』
監督/ブラッド・ファーマン
出演/ジョニー・デップ、フォレスト・ウィテカー、トビー・ハス、デイトン・キャリー、他
全国公開中
© 2018 Good Films Enterprises, LLC.

FILM 『あいたくて あいたくて あいたくて』

FILM 『あいたくて あいたくて あいたくて』

人生の酸いも甘いも経験したミドル世代って、こと恋愛に於いては一番心地良い関係が築ける年頃なのではないだろうか。なんて、登場人物たちの生き方を見ていると考えてしまう。夫を亡くし店を1人で切り盛りする淳子(丸 純子)と、元妻との関係が断ち切れない家具職人の祐司(浜田 学)。2人はメールのやりとりを通して宮沢賢治の物語を共有し、少しずつ互いを知っていく。その姿は時に少年少女のようにピュアで温かい。いまおかしんじ監督が描く、程良い生っぽさも没入感を後押し。(多田)

【作品情報】
『あいたくて あいたくて あいたくて』
監督・脚本/いまおかしんじ
出演/丸 純子、浜田 学、川上なな実、柴田明良、青山フォール勝ち、山本愛香、足立 英、青木将彦、松浦祐也、川瀬陽太、他
8月13日より〈新宿K’s cinema〉他にて全国順次公開
©︎レジェンド・ピクチャーズ

FILM 『異動辞令は音楽隊!』

FILM 『異動辞令は音楽隊!』

「軍曹」とも呼ばれる鬼刑事・成瀬 司は、横暴な捜査と周囲への高圧的な振る舞いが目に余り、30年目にして警察音楽隊への異動を命じられる。「音楽なんかやるために俺は警察官になったんじゃない」と異動後も反発的な態度を崩さない成瀬だが、それ故に自分の居場所を失い、失意の底で音楽隊でのドラム演奏と向き合っていく。シリアスな展開も続くが、成瀬に限らず登場人物1人ひとりが葛藤を抱えながらも奮闘する様に勇気付けられ、前向きになれるヒューマン・ストーリー。(賀国)

【作品情報】
『異動辞令は音楽隊!』
原案・脚本・監督/内田英治
出演/阿部 寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、板橋駿谷、モトーラ世理奈、見上 愛、岡部たかし、渋川清彦、酒向 芳、六平直政、光石 研、倍賞美津子、他
8月26日より全国公開

©2022「異動辞令は音楽隊!」製作委員会

FILM 『彼女のいない部屋』

FILM 『彼女のいない部屋』

本国フランスでの公開時も物語の詳細は伏せられ、情報は「家出をした女性の物語、のようだ」の1行のみ。だが「ある事実」に気付いた時、えもいわれぬ感情が生まれた――何が偽りで何が真実か、幻覚と現実を均等に扱い、時系列をレイヤーにしていくことで、ある家族の肖像が浮かび上がってくる。映像と音楽による見事な「繋ぎ」によって生まれたシームレスなモンタージュは次第に主人公の女性に現実を突きつけていく。「春を待つことに疲れた」と呟いた彼女が行き着く先とは?(堂前)

【作品情報】
『彼女のいない部屋』
監督/マチュー・アマルリック
出演/ヴィッキー・クリープス、アリエ・ワルトアルテ、他
8月26日より〈Bunkamuraル・シネマ〉他、全国公開
© 2021 - LES FILMS DU POISSON – GAUMONT – ARTE FRANCE CINEMA – LUPA FILM

FILM 『激怒』

FILM 『激怒』

かつては暴力団一掃などの功績を残し、その人情深い人柄ゆえ、グレーな商売をする仲間や行き場のない不良からも慕われていた刑事の深間。だが彼には、一度怒りが湧き上がると見境なく暴力を奮ってしまう一面が。怒りを抑える“治療”の名目で医療機関に送られ、元の街へと戻ると、そこは支配者たちによる高圧的な監視社会に様変わりしていた――主演はメジャーからインディ作品まで引っ張りだこの川瀬陽太。怒りの中に悲哀や希望までも感じさせた芝居は鮮烈に脳裏に焼き付いている。(多田)

【作品情報】
『激怒』
企画・監督・脚本/高橋ヨシキ
出演/川瀬陽太、小林竜樹、奥野瑛太、彩木あや、森羅万象、他
8月26日より〈新宿武蔵野館〉他にて全国順次公開

※メインカット下のクレジット
©︎映画『激怒』製作委員会

FILM 『靴ひものロンド』

FILM 『靴ひものロンド』

1980年初頭のナポリで平穏に暮らす、4人家族の夫の浮気で物語は始まる。長く確かに愛し合った日々があるからこそ徐々に壊れていく妻、振り回され、どこか冷徹な目で両親を見据える子供たち。解けた靴ひもを結び直し、絆を再び繋ぐことはできるのか――。思わず「えーっ!」と叫んでしまう展開も続き、平凡な家族が歪んでいく様は観ていて心苦しくもあるが、「ロンド」のタイトル通り鑑賞後にはどこか軽やかな余韻が残った。80年代イタリアのファッションやインテリアも愛らしく目に鮮やか。(賀国)

【作品情報】
『靴ひものロンド』
監督/ダニエーレ・ルケッティ
出演/アルバ・ロルヴァケル、ルイジ・ロ・カーショ、ラウラ・モランテ、シルヴィオ・オルランド、他
9月9日より全国順次公開

© Photo Gianni Fiorito/Design Benjamin Seznec /TROIKA ©2020 IBC Movie