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BARFOUT!2022 JUNE-3

COMIC 『ルックバック』藤本タツキ

COMIC 『ルックバック』藤本タツキ

 『チェンソーマン』を世に生み出した藤本タツキが長編読切で描いたのは、自信家の藤野と引きこもりの京本という2人の小学生の物語。「鬼才」との呼び声も高い藤本タツキ。本作でもその画力が猛威を振るい、セリフのない情景画でさえ、あまりの雄弁さにゾッとするほど。未熟だった自分の、遠い昔に封じた記憶を素手で鷲掴みにされるような、駆り立てられるプロットは全143ページ、1巻完結で一気読み必至。4月11日に無料公開された200ページの読切『さよなら絵梨』と合わせ、ぜひ一読を。(賀国)

『ルックバック』藤本タツキ
発売中
〈集英社〉
※1話のみ、『ジャンプ+』にて8月19日まで無料公開中。

BOOK 『ウチらメンタル衛生きちんと守ってかないと普通に土還りそう』kemio

BOOK 『ウチらメンタル衛生きちんと守ってかないと普通に土還りそう』kemio

 目次から金言だらけで、刺さりに刺さる。kemioの声で再生されるくらいに響いてしまうのは、我々と同じような出来事にモヤモヤし、同じようなポイントで歩みが止まっているから。けれど今作では「セルフケア」がテーマ。揺れている心をオープンに見せてくれるけど、ちゃんと地に足ついたポジティヴな思考も必要なのだと改めて気付きをくれる。「いろんな自分を抱きしめて認めていく」、吹っ切れて開き直った、26歳のアップデートされたkemioによる、現代の菜根譚。(上野)

『ウチらメンタル衛生きちんと守ってかないと普通に土還りそう』kemio
発売中
〈KADOKAWA〉

Blu-ray 『THE FIRST ONLINE LIVE「With」Blu-ray』ORβIT

Blu-ray 『THE FIRST ONLINE LIVE「With」Blu-ray』ORβIT

 昨年11月におこなわれたORβIT初のオンライン・ライヴ『With』がBlu-rayに。メンバーは日韓混合編成のため、コロナ禍の影響もあり、結成から2年弱のうち片手で数えるほどしか全員での活動ができなかった彼ら。しかしライヴで魅せた20曲(!)のパフォーマンスは、その困難な背景を忘れさせるほどの輝きと、説得力があった。彼らの多彩な歌声と表現は、いつも想像を超越する。兵役のため現在2名が活動休止中だが、再合流後の活動を想像すると、楽しみでもあり末恐ろしくもある。(賀国)

『THE FIRST ONLINE LIVE「With」Blu-ray』ORβIT
発売中
〈Present Label〉

Blu-ray & DVD 『ONE OK ROCK 2021 Day to Night Acoustic Sessions』ONE OK ROCK

Blu-ray & DVD 『ONE OK ROCK 2021 Day to Night Acoustic Sessions』ONE OK ROCK

 昨年7月22日~25日の4日間、全7公演に渡り開催されたONE OK ROCKのアコースティック・ライヴ『ONE OK ROCK 2021 “Day to Night Acoustic Sessions”』がDVD&Blu-ray化。楽曲はすべて、このライヴのためだけにリアレンジされたという貴重なもの。見るからに感情を剥き出すような、生命力がほとばしるライヴももちろん良い。が、沸々と奥底から熱がたぎるような、アコースティック・ライヴも格別。初回盤には彼らにとって初の試みとなるライヴ音源が収録。(松坂)

『ONE OK ROCK 2021 Day to Night Acoustic Sessions』ONE OK ROCK
発売中
〈ワーナーミュージック・ジャパン〉

PLAY COCOON PRODUCTION 2022 『広島ジャンゴ2022』

PLAY COCOON PRODUCTION 2022 『広島ジャンゴ2022』

 言葉あるいは拳銃によって攻撃し合う背景には、それぞれに守りたいものや理由が存在していて、つまり“正義”を突き詰めるほど答えを出せない虚しさに苛まれてしまう。その中でも、力を誇示する者に屈しまいと勇ましく戦う天海祐希(山本/ジャンゴ)、心を引き裂かれながらも自身を鼓舞し立ち上がる鈴木亮平(木村/ディカプリオ)の姿には1つの希望を見る。それにしても、魂の叫びをラップに乗せて唄い、時に馬として舞台を駆け回る鈴木の超人的な芝居には感服した。(多田)

COCOON PRODUCTION 2022
『広島ジャンゴ2022』
4月5日〜4月30日〈Bunkamuraシアターコクーン〉、5月6日〜5月16日〈森ノ宮ピロティホール〉にて上演終了

撮影:細野晋司

EVENT 「2ND SINGLE『I』リリースイベント」INI

EVENT 「2ND SINGLE『I』リリースイベント」INI

 4月20日に2ndシングル『I』をリリースしたINI。発売日当日、リリース・イヴェントがおこなわれた。オープニングは表題曲「CALL 119」でライヴさながらのステージを披露。トークを挟み、カップリング曲「BOMBARDA」のパフォーマンス・ヴィデオが初公開、「〈オリコン〉デイリー・シングル・チャート」で1位獲得!(さらに早くもハーフ・ミリオン突破)と嬉しい発表が続く。昨年のデビュー以降、躍進を続けるINIの勢いは、まだまだこれから。(上野)

「2ND SINGLE『I』リリースイベント」INI
4月20日開催

©LAPONE ENTERTAINMENT

 SHOP 『Farrow&Ball GINZA SALON』

SHOP 『Farrow&Ball GINZA SALON』

 〈英国自然史博物館〉やニューヨーク近代美術館〈MOMA〉など、世界中の伝統的建築物に使用されるイギリスの老舗インテリア・ペイントブランド〈Farrow&Ball〉の店舗が、銀座にグランド・オープン。発色の良いカラーは132色展開と目移りしてしまうし、ネーミング1つひとつに自然の美しさや人物名など特有のストーリーが含まれているのもステキ。専門知識を持つカラー・スタイリストに相談できるから初心者でも心強いし、理想が形となった空間はより愛着が沸きそう。(多田)

『Farrow&Ball GINZA SALON』
東京都中央区銀座5-9-15 清月堂ビル地下1F
予約・問い合わせ/www.farrow-ball.jp/ginzasalon

FILM 『オードリー・ヘプバーン』

FILM 『オードリー・ヘプバーン』

 時代を超えてなお人々の羨望を一身に集めるオードリー・ヘプバーンの生涯を、彼女の近親者のインタヴューと共に振り返っていくドキュメンタリー。なんと言っても『ローマの休日』や『ティファニーで朝食を』などの名シーンが、2022年にスクリーンで観られるという感動たるや! 映画の後半では、母となった彼女の銀幕外での姿や、ユニセフ国際親善大使として活動した後年の姿も映し出され、どこまでも愛を求め、慈悲深く利他的なオードリーに、胸が揺り動かされる。(賀国)

『オードリー・ヘプバーン』
監督/ヘレナ・コーン
出演/オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)、エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、他
TOHOシネマズシャンテ他、全国公開中
©️ PictureLux / The Hollywood Archive / Alamy Stock Photo

FILM 『死刑にいたる病』

FILM 『死刑にいたる病』

 連続殺人で世間を震撼させた犯人から冤罪証明を依頼された大学生が、真相を解明するために奔走する姿を描いた、櫛木理宇の同名小説の実写映画。阿部サダヲのシリアル・キラーっぷりと徐々に闇に呑まれていく岡田健史の演技にとにかく目が離せない。鮮烈で鋭利な暴力描写の数々は思わず目を背けたくなりつつ、どこか美しいとも思えてしまう。本編のうち、かなりの時間を占める刑務所の面会室でのシーンは、ガラスへの映り込みさえも計算し尽くされ、毎度深淵を覗く心地であった。(賀国)

『死刑にいたる病』
監督/白石和彌
出演/阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、中山美穂、他
全国公開中
©2022「死刑にいたる病」製作委員会

FILM 『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』

FILM 『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』

 2009年、アフガニスタンへ派兵中の夫やパートナーの帰りを待つ女性たちが、互いに支え合い前向きに生きるために合唱団を結成した実話の映画化。年齢も生活背景もバラバラ、元々合唱に馴染みがあるわけでもない数十人が集うだけに、交錯する人間模様はもどかしさも感じるが、それだけにラストで披露される合唱は必涙だ。シンディー・ローパーの「Time After Time」など、彼女たちの心情とリンクする80年代の名曲の数々も、物語へ親近感を持たせ観客の没入を誘う。(賀国)

『シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~』
監督/ピーター・カッタネオ
出演/クリスティン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン、ジェイソン・フレミング、グレッグ・ワイズ、他
5月20日より全国公開
© MILITARY WIVES CHOIR FILM LTD 2019

FILM 『20歳のソウル』

FILM 『20歳のソウル』

 本作で響くブラスバンドの音は、なぜこうも心の奥底を掻き立ててくるのだろう。20歳で短い生涯を閉じた浅野大義氏の実話を元に、彼の高校から大学までの日々を優しく描き出した本作。劇中、甲子園の予選会や彼の告別式で演奏されるのは、神尾楓珠演じる浅野が作曲した「市船soul」。闘病する彼を支える母や恩師、恋人や友人たちの明るさと思いやりが乗った演奏に胸が熱くなり、観賞後にも長く余韻が続いた。彼の音楽は人々の想いを乗せ、今もなお生き続けている。(賀国)

『20歳のソウル』
監督/秋山 純
出演/神尾楓珠/尾野真千子、福本莉子、佐野晶哉(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)/佐藤浩市、他
5月27日より全国公開

© 2022「20歳のソウル」製作委員会

FILM 『はい、泳げません』

FILM 『はい、泳げません』

 カナヅチの大学教授(長谷川博己)が突然水泳教室に通いだすという可笑しな冒頭から、その理由が徐々に明かされ、物語は悲しみを経て再生に流れていく。泳げない男が傷付いた人生と向き合う様子を見守っていれば、ぐっと目頭が熱くなる。『舟を編む』で第37回『日本アカデミー賞』最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作が原作にアレンジを加えて脚本化、監督を務めた。登場人物はみなチャーミングで、癒えない心をそっと支え合う。監督の温かな視線が注がれた感動作。(岡田)

『はい、泳げません』
監督・脚本/渡辺謙作
出演/長谷川博己、綾瀬はるか、麻生久美子、阿部純子、小林 薫、他
6月10日より全国公開
© 2022「はい、泳げません」製作委員会