
BARFOUT!2022 JUNE-2

MUSIC『I Love You EP』イハラカンタロウ
今年2月にリリースされた7インチに収録の「I Love You」、「You Are Right」に加え、軽快なカッティング・ギターが心地いい「gypsy」、〈七色の灯り 夜の帳〉という歌い出しからして雰囲気たっぷりのミディアム・バラード「rhapsody」などを収めた最新EP。70’s以降のソウルやAOR、山下達郎およびシュガー・ベイブらの影響を素直に受け取りカタチ作れる感性と、こだわりを持って制作したのが窺える職人魂が頼もしい。彼にしかない煌めきと色気を大事にしてほしい。(堂前)
『I Love You EP』イハラカンタロウ
発売中
〈P-VINE〉

MUSIC 『Pale Rain』imase with PUNPEE & Toby Fox
音楽活動開始からわずか1年。『TikTok』に投稿したオリジナル曲が広まり続け、メジャー・デビューを果たした岐阜出身の21歳、imase。「Pale Rain」は、その彼が世代もフィールドも超え、ラッパー/プロデューサーのPUNPEEとインディーゲーム・デザイナー/作曲家のToby Foxと共同制作した1曲。雨粒を感じさせるピアノのリフレインと飾らないピュアな歌声、そしてエモーショナルなラップが非常に美しく混ざり合う。中島セナ出演の『ポカリスエット』の新CMの主題歌。(松坂)
『Pale Rain』imase with PUNPEE & Toby Fox
発売中
〈Virgin Music〉

MUSIC 『High Five』清水美依紗
歌番組やSNSでその歌唱力に絶大な指示を集める清水美依紗が遂にメジャー・デビュー! 誰しもが聴き惚れる彼女の確かな歌声とに軽やかなメロディ、〈不安で震えるYour voice それでも笑顔でWe’re going〉〈ゴールはそこにあるのきっと〉と聴き手に寄り添い優しく鼓舞してくれる歌詞は、新年度でスタートを切る人々の心の拠り所となるだろう。カラフルで爽やかなMVでは、彼女のチャーミング・ポイントである笑顔が弾け、一緒に踊り出したくなる仕上がりに。(賀国)
『High Five』清水美依紗
配信中
〈Virgin Music〉

MUSIC 『再』DISH//
結成10周年を記念し、“今の音”を届けるべく、リテイク・プロジェクト「再青」として、1月より毎月2曲ずつ過去楽曲のリテイク版を配信リリースしてきたDISH//。その集大成となるのが、「10th Anniversary Retake Collection 『再』」だ。挫折や悔しさを味わいながらも、1歩ずつ、時には足踏みをしながらでも前進することを選んできた彼ら。歌もサウンドもメッセージ性も、確実に届くものとして成長を遂げたのが分かる。さらに上へ。そんな向上心も楽曲から伝わってくる。(松坂)
『再』DISH//
発売中
〈ソニー・ミュージックレコーズ〉
※初回盤

MUSIC 『SO GOOD』DRIPPIN
INFINITEやLOVELYZ、Golden Childを輩出してきた韓国の音楽プロダクション、〈Woollimエンターテインメント〉の最若手である7人組ボーイズ・グループ、DRIPPIN(ドリッピン)。彼らの日本デビュー曲は、ポップでポジティヴな「SO GOOD」。イントロに乗って流れる口笛を聴いていると、無条件に身体が動いてしまうからなんだか不思議だ。カップリングの「Villain-Japanese ver.-」はタイトル通り危うさと妖艶さがミックスされた韓国での人気曲の日本語Ver.。(上野)
『SO GOOD』DRIPPIN
発売中
〈Mercury Tokyo〉

MUSIC 『Assort』Novelbright
Novelbrightからめちゃくちゃ豪華なアルバムが届いた。メジャー2ndフル・アルバム『Assort』は、ドラマ『真犯人フラグ』の主題歌「seeker」、『漂流者』主題歌「優しさの剣」、映画『犬部!』主題歌の「ライフスコール」に、アニメやバトルゲームのテーマ、さらに新曲7曲をタイトル通り “詰め合わせ”た「こんなに、いいんですか?」と思うくらいヴォリューミーな全13曲収録。今の彼らの叫びがひしひしと伝わる。いつかライヴを体感してみたいアーティストだ。(上野)
『Assort』Novelbright
発売中
〈ユニバーサル シグマ〉

MUSIC 『BITEKI』美的計画
2019年にSNSで突如、川谷絵音(ゲスの極み乙女。、indigo la End、ichikoro、ジェニーハイ)がヴォーカリストを募ってスタートしたプロジェクトがついにアルバム・リリース。「あざと連ドラ『君があざとくて何が悪いの?~僕らの恋日記~』」主題歌「点と線 feat.さとうもか」他、ヴォーカリストは和ぬか、謎女、相沢&映秀。、CLR、春茶、青空&絲花。様々な声質、歌い方に合わせてソングライティングしたことで、川谷の技量の高さが一聴して分かる。(山崎)
『BITEKI』美的計画
配信中
〈ワーナーミュージック・ジャパン〉

MUSIC 『The Gaze』Predawn
「定点P」と題し、新月と満月の夜に定期的に生配信をおこなっているPredawn。それを欠かさずに聴いている分、生活の中にある音楽ゆえ、最初はピンとこなかったが、ニュー・アルバムは実に約5年7カ月ぶり(!)だそう。神谷洵平やRayonsなど多くのゲスト・ミュージシャンを迎え、楽曲ごとにより世界観が明確に表現された『The Gaze』。様々な視点を感じさせる本作を聴いていると、リアルからは少し離れ、遠くの世界から今を見つめられるような感触がある。(松坂)
『The Gaze』Predawn
発売中
〈Pokhara Records〉

MUSIC 『angels』My Hair is Bad
「新潟県上越、My Hair is Bad始めます」。テレビ地上波初のパフォーマンスとなった『ミュージックステーション』にて、いつものライヴと変わらない調子で、そう言ってから演奏を始めた彼ら。その時も同じことを思ったが、20代最後に取り組んだという本アルバムを聴いても、まず思うのは軸がブレないということ。年齢を重ねた今も、ド直球に愛をぶつけてくれるし、本音や人間くささが楽曲にとことん滲む。ある意味、彼らの王道とも言える1枚。素直に生きる人たちは強い。(松坂)
『angels』My Hair is Bad
発売中
〈EMI Records〉

MUSIC 『味見』MONO NO AWARE
数年前、ギターの加藤成順がギャラリーで写真を展示していた際に、出身地である八丈島の風景を見た。曲を聴けば、言葉遊びに長けた歌詞と突き抜けたポップスに、彼らの故郷の自由な空気を感じた。新作『味見』はドラマ『シェアするラ! インスタントラーメンアレンジ部はじめました。』の主題歌で、秀でた言語感覚が爆発している。「少々、適量……料理むずすぎる」と玉置周啓(V)がコメントするように、サイケな音に料理と人生の謎が混ざっていく。最高なさじ加減のグルメ曲。(岡田)
『味見』MONO NO AWARE
配信中
〈SPACE SHOWER MUSIC〉

MUSIC 『My Small Land(Original Motion Picture Soundtrack)』ROTH BART BARON
ROTH BART BARONの曲は、イントロのたった数秒だけで、聴き手の心を震わす力があると思う。だから映像制作者集団・分福の川和田恵真監督による映画『マイスモールランド』で、映画音楽を初めて担当すると聞いた時、どれほど嬉しかったことか。本作には、1音1音を聴き逃さぬように集中してなぞってしまうほどに、物語の主人公たちの繊細な心情を丁寧に汲み取った楽曲たちが並ぶ。劇伴音楽はもちろん、映画のために書き下ろした主題歌「New Morning」も収録。(松坂)
『My Small Land(Original Motion Picture Soundtrack)』ROTH BART BARON
発売中
〈SPACE SHOWER MUSIC〉

MUSIC 『Memory』マルシィ
福岡発の3ピース・バンド、マルシィのメジャー1stアルバム『Memory』は、どこか自分の“思い出”を歌っているように感じる1枚。全曲の作詞作曲を担う吉田右京(V & G)の筆致はどれも優しく“思い出”に手紙を書いているような、そんな気がする。シンプルに言葉を綴りながらも、例えば「ラブストーリー」の中に〈噛み合わない価値観を噛み砕いて〉、〈いつまでも握っていたかった糸は 赤じゃなかったんだね〉など、節々にグッとくる言い回しが。(上野)
『Memory』マルシィ
6月1日発売
〈ユニバーサル シグマ〉