
〈sio〉と、料理と、今日の私。第4回 Guest/竹中直人
撮影 久富健太郎(SPUTNIK)
文 松坂 愛
料理だけでなく様々なホスピタリティが高く、味わったことのない驚きの出会いがある、代々木上原のモダン・フレンチ〈sio〉。オーナー・シェフの鳥羽周作をホストとして、多彩なゲストを招き、新しいレストラン体験を伝える当企画。第4回のゲストは、自らが声を掛け、山田孝之と齊藤 工とともに監督として、共同制作した映画『ゾッキ』の公開が控える(続報も待ち遠しい!)、竹中直人をお招きしました。
物語を生み出す〈sio〉の料理
竹中直人が〈sio〉に訪れたのは夕方頃。「嬉しいな〜、夕方の飲みって好きなんですよね」と、まずは1品目の「白トリュフ香るう巻き」をパクリと食し、わずかに泡を抜き味わいに特化した特別なシャンパンを堪能。「なんて優しい味なんだろう。それでいてズシンと印象に残る」と顔がほころんでいく。
シェフの鳥羽は、長年の竹中ファン。「竹中さんは、どんなことも真剣に楽しんでいて、めちゃくちゃカッコ良いなと。僕らも料理で目指すのは、そういうところで常に本気でやっているんです」と熱い想いを伝える。すると少し照れ笑い、「嬉しいですね、今の言葉。まだまだ元気に頑張ろうと思います」と返す竹中がいた。
温かい会話を繰り広げながら、続くは鮎料理。色合いの美しさに「キレイ!」とテンションアップ。「俺、久しぶりに鮎を食べた。爽やか。めちゃめちゃ懐かしいな」とも。それに合わせたドリンクは「ポルトガルの田舎町・リスボンのワイン」。「リスボンに行ってみたいと思いながらまだ行ったことがなくて。『リスボンに誘われて』という映画と、『イマジン』という映画だったかな、両方ともリスボンが舞台。それを思い出しちゃった」と感慨深く話す。
〈sio〉の料理やドリンクには、何かを思い出したり感じたり、物語が生まれるのも1つの魅力だ。その後も竹中の好みに合わせた1品1品に、驚きつつ、大満足する姿が見て取れた。終始、穏やかな表情。それを見ているだけで、こちらまで多幸感に包まれるようだった。

今回のメニュー
「チキントーバーカレーライス」

「白トリュフ香るう巻き」

「鮎のコンフィ」

「sioアイス」


INFORMATION OF sio
〈DIRITTO〉、〈Florilege〉、〈Aria di Tacubo〉などで研鑽を積み、〈Gris〉のシェフに就任した鳥羽周作が、 2018年7月、オーナー・シェフとして自身のすべてを出し尽くしてオープンしたレストラン。
東京都渋谷区上原1-35-3
tel.03-6804-7607(12:00〜22:00)
予約制
水曜定休、不定休(ランチは土・日・祝日のみ)
ディナーコース10皿(10,000yen)、ランチコース6皿(7,000yen)
※別途、ペアリング・ドリンクを頼むと、各料理によって取り合わせが楽しい、希少なアルコールかティーが供される。
INFORMATION OF NAOTO TAKENAKA
3人の俳優が監督として共同制作した映画『ゾッキ』が2021年公開。また、今夏放送予定の特別ドラマ『桶狭間 OKEHAZAMA~織田信長~(仮題)』〈フジテレビ〉系にも出演が決定している。