MainVisual

BOOK-ING volume 25 February 2020

Featuring高杉真宙 MAHIRO TAKASUGI

映画『前田建設ファンタジー営業部』は、「うちの技術でマジンガーZの格納庫を作っちゃおう」という上司アサガワ(小木博明)の無茶ぶりに振り回されるドイ(高杉真宙)ら広報グループの面々の汗と涙の日々を描いたエンタテインメントだ。「実際には作らないが、設計図を出し工期を立て見積書も完成させる」というミッションに奮闘しながら、己の人生の活路も切り開いていく。

「ドイは熱量のある子だなとは思いましたが、それを見せないんですよね。表に出すことは大人として正しくないと思っている。だからみんなの子供のようなノリに乗っていかないところがあって。とは言えテンションが低過ぎるのも違うので、その辺のバランスを大事にしました。僕自身は、周りの大人の方たちみたいになりたいと思ってきた部分があるので、彼とはちょっと違うんですけど−−−まぁ『翻弄される』というところは、ある意味役者という仕事は色々な人に翻弄されているので、似ているかもしれませんが(笑)−−。今回も、小木さんの1人語りとか、めちゃくちゃ長いんですが、それでも、あのテンションで僕らを引っ張っていってくれるんですから……『小木さんすごっ』と思いました。事前に『いっぱい間違えるかもしれないけど、ごめんね』と言っていたのにそんなことなくて、カッコいいなぁと思いました」

本作を通じて痛感するのは、「知る楽しさ、学ぶ歓び」の大切さ。きっかけは何であれ、知らないことを知る面白さを知ったドイは、スポンジのように色んなものを吸収していく。

「僕の場合は、いま舞台(『カリギュラ』)をやっているんですが、その稽古がめちゃくちゃ面白くて。初日から稽古なのに照明があって、仮衣装も付いていて。緊張が1回も抜けない稽古なんですが、そういった状況を作ってもらえることは勉強になりました。プライヴェートで言えば、この仕事じゃない人、友達の友達とかとお話することが最近多いんですが、自分たちが考えたこともないことを教えてくれたり、こうだと思っていることを訂正してくれたりして、有り難いなぁと思っています」

本作は、人の熱が人を巻き込み、大きなグルーヴを生み出していく。その根底にあるのは、情熱に支えられたプロフェッショナリズム、プロの意地。昨年デビュー10周年だった高杉の「役者の意地」は何だろう?

「へこたれない。それだけですね。もうほぼ根性ですよ(笑)。できないことが当たり前だと僕自身は思っているので、『できる』と思わないようにしていて。できると思うとサボる気もしますし、できなかった時、心が折れそうになる。だから『できない』からスタート。『できるまで頑張ろう』と。その道のりにおいてはへこたれない、という意地はあります。これまでも、一度もへこたれたこと、ないです。何か言われても、『言われて当然だ、頑張ろう』と思えます」

これだけ経験を積んできたのだから、何かしら「身に付いていること」はあるような気がするが−−−。

「何でしょう。でも、身に付いているものをあまり信じてはないです。役によって毎回やることが違いますし、監督や共演する方によっても、変わってくるので。自分の思っていることを信用してないですね」

では、信用しているものは?

「僕が高杉真宙であるということだけ(笑)。『高杉真宙だよな、俺って』と……。まぁそれは冗談ですけど、何とかしなきゃいけないという気持ち、そして『何とかなる』とどこかで思っている。そういったある種の自信は信用できるかもしれない。難しいですけど、『できないことはない』と思っているんだと思います」

 

RECOMMEND BOOK

『ボールルームへようこそ』

『ボールルームへようこそ』

 「漫画は大好きで沢山持っているんですが、ずっと好きなのは『ボールルームへようこそ』です。これだけはすぐに手に取れる場所に置いてあって。今の自分を構成する上で大事な作品です。舞台などの生モノなら分かりますが、紙や画からも熱量ってこんなに伝わるんだと驚きました。ちなみに電子より紙派です」
.
竹内 友〈講談社〉刊

INFORMATION OF MAHIRO TAKASUGI

『前田建設ファンタジー営業部』

『前田建設ファンタジー営業部』

監督/英 勉 原作/前田建設工業株式会社 『前田建設ファンタジー営業部1 「マジンガーZ」地下格納庫編』(幻冬舎文庫) 永井 豪『マジンガーZ』 脚本/上田 誠(ヨーロッパ企画) 出演/高杉真宙、上地雄輔、岸井ゆきの、本多 力、町田啓太、六角精児、小木博明(おぎやはぎ)、他 
 1月31日より全国公開
(C)前田建設/TeamF(C)ダイナミック企画・東映アニメーション

REVIEW by BARFOUT! editor's

MUSIC  『BORDERLESS』 雨のパレード

MUSIC 『BORDERLESS』 雨のパレード

 ここにきて何かが大きく開かれた。いや、以前からその意志は感じていたが、飛躍した。「越えていけ、何もかも」と銘打たれたニュー・アルバムは、バンドがどう見られたいか?なんて欲目を捨て去り、今の時代に鳴らすべき音が高らかと響き渡り、放つメッセージが潔い声で歌われている。(堂前)
.
1月22日発売 
〈スピードスターエンタテインメント〉

ART  野村佐紀子 写真展 『GO WEST』

ART 野村佐紀子 写真展 『GO WEST』

 『BARFOUT!』本誌でも静謐で濃艶な印象強い写真を、いくつも撮影してくれている写真家の野村佐紀子が、公立美術館で初の個展を、愛知県の〈碧南市藤井達吉現代美術館〉で開催中。展示される約290点もの作品群は圧倒的で、魂が揺さぶられる。野村の世界観を存分に味わおう。(岡田)
.
〈碧南市藤井達吉現代美術館〉にて2月24日まで開催中。愛知県碧南市音羽町1-1
tel.0566-48-6602

Photo by Sakiko Nomura

DVD&Blu-ray 『永遠に僕のもの』

DVD&Blu-ray 『永遠に僕のもの』

 一見、猟奇殺人犯とは思えぬ天使的ヴィジュアルのカルリートス(ロレンソ・フェロ)。幼少期から他人の物を無性に求めては窃盗を重ね、銃を手にしてからは意味もなく殺人を犯すが、その心は満たされないまま。荒削りな感情と衝動に反比例した、憂いを含む彼の瞳が忘れられない。(多田)
.
©2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
監督/ルイス・オルテガ
出演/ロレンソ・フェロ、チノ・ダリン、ダニエル・ファネゴ、セシリア・ロス、他 
2月4日発売〈ギャガ〉

ITEM  『シチズンコレクション / メカニカル レディス限定モデル』

ITEM 『シチズンコレクション / メカニカル レディス限定モデル』

満開の桜の木から花びらがこぼれ落ちるようなイメージをデザインした、〈シチズン〉のレディスウオッチが2000本限定で発売中。ピンクのグラデーションが美しい白蝶貝の文字盤からは、精密なムーブメントが顔見せしているのも◎。時計好きの心もガッチリ掴んだ春らしい逸品だ。(多田)
.
PC1004-63W(5,500yen)(税別)

BEST ALBUM OF LIFETIME  『LOVE IS THERE-NOVO COMPLETE WORKS』 NOVO

BEST ALBUM OF LIFETIME 『LOVE IS THERE-NOVO COMPLETE WORKS』 NOVO

 1973年に日本語で(しかも、耳に残る発音)ブラジリアン・サウンドを歌うという、当時、フレッシュな試みをしつつも、フレッシュゆえ2枚のシングルのみリリースで解散したノーヴォ。未発表曲含めたこの1枚はチルの際、仕事しながらといつでも対応可能の名盤。(山崎)

BEST MAG OF LIFETIME  『月刊カドカワ』

BEST MAG OF LIFETIME 『月刊カドカワ』

 1人のアーティストを50ページもの徹底特集や、女優の小説、エッセイの連載も掲載するという編集方針をおこなったのが、見城 徹(現〈幻冬舎〉代表)。表現者同士を誌面で対談という形で引き合わせ、新たな表現を誘発することに雑誌の可能性を感じた。(山崎)