“ハードコア・ラッパー”という立ち位置を、もはやほぼ捨て、オルタナティヴな存在として、メジャー/マイナー、ポップス/ヒップホップの垣根を行き来する希有なラッパー、環ROY。それでも、日本語ヒップホップ文脈を意識せざるを得ない彼は、シーンへの挑発も込めて、前作『BREAK BOY』を制作したように思う。しかし本作においては、もはやチャチなことには拘らず(それでも前出の意識は根底に伺えるが)、シンプルな気持ちで、より大きなフィールド、多数のリスナーに向けて作ったかのような、スケール感のデカさを見せつけてくれた。例えば1曲目「ハッピーバースデー」(□□□三浦康嗣・作曲)という祝祭感溢れるこのトラックで彼は、〈君にまた電話する そして謝る前にありがとうって伝えるよ〉と綴る。字面だけ読むと、ラヴ・ソングにありそうなリリックである。大きな変化だと思った。しかもフックで彼は、歌っている。少し覚束ないが、踏み出したその一歩が嬉しい。参加するトラック・メーカーは、前出の三浦の他、PUNPEE、Bun、Eccy、Himuro Yoshiteru、EeMU、Y.G.S.P、JIGG、SHIRANUI。ミュージック・ヴィデオも公開されたようなので、まずはこちらを是非チェックしてみて欲しい。(堂前 茜)
2011.4.27.update






